■計装 ▶︎計装とは
管理人は計装設備エンジニアです。一般人からすると「計装ってなに?」と間違いなく言われると思います。管理人もこの仕事を始めるまでは全く計装のことは知りませんでした。
計装について自身の中で整理し,さらに理解を深めるという意味でも記事にしていきたいと思っています。
計装とは(instrumentation)
計装という言葉は1950年代に『Instrumentation』の訳語として誕生しています。広辞苑によると
『制御の目的で計測装置または計装制御装置を装備すること。またその技術』
と定義されています。
日本工業規格(JIS) Z8103 2000では以下のように記載されています。
- 番号:1006
- 用語:計装
- 定義:測定装置,制御装置などを装備すること。
- 対応英語:instrumentation
日本工業規格(JIS) B0155(すでに廃止になっていますが…)計装に関わる用語を拾ってみると以下のようなものがあります。注)廃止:2018/09/20
JIS Z8116では
「対象とするシステムの運転や管理を具現するために,対象システムの計測・制御または管理方法などを検討して制御や監視のための装置を装備すること」定義されています。
計装の目的とは
工場やプラントで一般的な標語「安全第一,品質第二,生産第三」と「計装」の意味を鑑みると以下のことを実践していくことが計装の目的かと考えています。
- 安全運転の確保 ・・・(人)安全第一
事故防止および安全の維持向上 - 環境安全の確保 ・・・(モノ)安全第一
- 製品品質の確保 ・・・品質第二
製品品質の維持・向上及び均一化 - 自動化・省力化 ・・・生産第三
生産性の維持・向上及び省エネ化,省力化並びに作業条件の改善
計装はどこで活躍している?
代表的な計装分野はプラント計装,ビル計装と言われています。
【プラント計装】石油化学・非鉄金属・発電設備・食品医薬等の各種産業プラントを主体
【ビル計装】ビル空調・ビル給排水設備を主体
プラント,ビルどちらも「ある点を測定し,目的の変量へ制御する」という点は変わりありません。
身近な計装技術は
エアコンの空調設備であったり,お風呂のお湯の量のコントロールであったりと意外と身近にいろんな計装技術(測定し制御する)があります。なくても生活できるが,あると便利なものによく使われている印象です。
例えばお風呂の温度の調整について説明します。
今でこそ給湯器などのコントロールパネル(風呂場に付いているもの)に設置値を入れて,蛇口を開くだけで設定値通りのお湯が出てきます。お湯の水位も設定値を入れておくだけで,自動的に止まります。
↓のフローチャートは五右衛門風呂(右側) vs 現代のお風呂(左側)を比較しています。もちろん五右衛門風呂には計装技術は導入されていません。
フローチャートにある指/目マークは人が介在する必要のある個所を示しています。五右衛門風呂を沸かすにはこれだけ人の手が必要になります。計装技術があると設定値を入れて,蛇口をひねるだけです。
これが生産現場となるといかに人の手を介在することなく製品が作れるか想像できるのではないでしょうか。
ソフトウェアがなければPC(パソコン)はただの箱?
高性能なPCでもソフトウェアがなければただの箱です。計装エンジニアはどのように工場や機器がどのように動いて,どのように運転しているかをよく理解し,それを実現するために制御システムを構築する必要があると考えています。
これが計装エンジニアのアイデンティティーだと管理人は考えています。カタログエンジニアになってはいけません。(計装機器を選定するときはメーカーのカタログから選ぶことからそう言っています。管理人の俗語ですね笑)
計装の歴史
計装の歴史として最も古いものとして「調速機の発明」が始まりと言われています。と言ってもその頃は計装(instrumentation)という言葉はなかったかともいますが笑
機械式 ⇒ 電子式,アナログ ⇒ デジタルなどの変遷を得て今日に至っています。その変化はトランジスタからICへ,マイコン,高集積化,価格の低下などの電子部品の変革が大きく影響しています。
これからもネットワークの進歩やコンピュータの進歩で技術的革新が起きるたびに計装もまた進歩していくと考えられています。夢が広がりますね笑
さいごに
工場が生産を維持するために,制御機器・測定センサ・操作機器を設置導入することが計装です。さらに踏み込んだところで言うのであれば,どのように運転制御するかまで構築できるとなお良い計装エンジニアと考えています。
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