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渦発生体(障害物)下流に発生する渦の発生周期を検出し,流量を測定する流量計を渦流量計と言います。渦流量計の体積流量計です。
渦流量計は機械的可動部がないため,機器的信頼性が高く,低粘度液やガス,または蒸気の測定が可能です。比較的広い範囲にわたって流量に比例する信号を検出できる流量計です。
電磁流量計と違って,導電率がなくても測定できる流量計ですね。
カルマン渦とは
流れの中に障害物(渦発生体:ブラッフボディ)を置くと,この障害物の下流には2列の渦が発生します。この渦列をカルマン渦といいます。
渦列を研究したTheodor Von Karmanという物理学者からカルマン渦と呼ばれています。
渦流量計の測定原理
渦発生周期は以下の式で表されます。
Stはストローハル数と言い,渦発生体の形状やサイズによって決まる無次元の定数となります。式から分かるように渦周波数は流速に比例することがわかります。
この周波数を検出することで流速を求めることができます。流速から体積流量が求めることができます。
計算式の結果から,流体の密度,圧力,温度,粘度に影響されないことがわかりますね!
渦流量計の構造
渦流量計の構造は測定管内にカルマン渦を発生させる渦発生体(ブラッフボディ)と渦を検出素子及び検出した信号を処理する変換器で構成されています。
検出素子は圧電素子が一般的で構造がシンプル,安価,また耐久性に優れています。その他にも容量センサ,シャトルピストン,サーミスタ,超音波などの検出素子があります。
渦流量計の特徴
下に渦流量計の特徴をまとめます。
- レンジアビリティが広い
- 低温から高温(-200℃~400℃くらい)まで測定可能
- 小口径から大口径(15A~300A)まで適用可能
- 構造が簡単で機械的可動部がない
- 広範囲の流体(液体,気体,蒸気)に適用できる
- 差圧流量計と比較し,精度(±1.0%RD)がよい
- 差圧流量計と比較し,圧力損失が比較的小さい
- 差圧流量計と比較し,施工費などを含めた総合コストが安価
- スラリーや付着性流体,固化しやすい流体には不適
- 流速分布の影響を受けるため,直管長が必要(差圧流量計ほどではない)
- ※整流器が必要な場合がある
- 脈動があると渦が乱れ計測誤差が発生し,指示がハンチングする
- 低流量域の計測が困難(渦が発生しないため)
渦流量計の設置条件
渦流量計の設置条件を下にまとめます。
- 水平配管:気体○/蒸気○/液体○
- 垂直配管(流れ方向は下から上):気体○/蒸気○/液体○
- 垂直配管(流れ方向は上から下):気体○/蒸気○/液体×
- 傾斜配管(流れ方向は下から上):気体○/蒸気○/液体○
- 傾斜配管(流れ方向は上から下):気体○/蒸気○/液体×
- ※液体の場合は測定管が満液にならない場合があるため,流れが上から下は注意のこと。異物滞留がないことガス溜まり,気泡溜まりができないこと
必要直管長は以下に示します。(「D」とは渦流量計の口径を示します。)メーカーに寄って直管長は異なるため,仕様を要確認のこと。
取付の際に配管ガスケットが配管内側に飛び出していると,そこから流れが不均一になり,測定誤差に直結しますので,適切なガスケットの選定と,取付を行ってください。
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