シンプルなレベル計。差圧式(液圧式)液面計の原理,特徴

計装 ▶︎計装設備液面の基礎差圧式(液圧式)液面計

差圧(液圧)式液面計(以下,差圧式液面計)は液の任意の高さにおいて圧力(液圧)がその位置から液位と液密度の積に比例することから,圧力を測って液位を測定する方法です。

目次

差圧式液面計の原理(開放系の場合)

差圧伝送器は圧力を測定するための計装機器です。差圧伝送器は高圧側の圧力と低圧側の圧力を受圧し,(高圧 – 低圧)の圧力差(ΔP)を測定することができます。

差圧伝送器を用いることで液位を測定することができます。

\(Ph-Pl = ρg(h + H1)\)

\(Ph:差圧伝送器高圧側圧力 [Pa]\)
\(Pl:差圧伝送器低圧側圧力 [Pa]\)
\(g:重力加速度 [m/s2]\)
\(ρ:液の密度 [kg/m3]\)
\(h:任意の液位の高さ [m]\)
\(H1:差圧伝送器の受圧素子中心 [m]\)

上記式のように差圧が分かれば,高さが分かるということを用いて液位を測定することができます。大気開放系のタンク貯槽ではP=0となり,液の高さのみ圧力が差圧伝送器に掛かることがわかります。

差圧を求めることで液位が分かるため,差圧式液面計と言います。これが差圧液面計の基本的な考えとなります。

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\(H1\)は任意の高さとなるため,設置位置と0%ととしたい位置を決めておく必要がありますね。

簡易計算フォームでも差圧を求める計算フォームを用意しています。

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差圧式液面計の原理(密閉系の場合 ドライレグ方式)

密閉系の場合,大気開放系と異なり,タンク貯槽内部の液圧+内圧が差圧伝送器に掛かります。そのため,内圧が変化すると液面が変動するため,内圧の補正をする必要があります。

内圧を測定するために,差圧伝送器の低圧側はタンク貯槽の気相部に導圧管を接続します。伝送器に内圧を受圧させることで,伝送器内部で内圧の補正を行い,高圧-低圧の差圧を伝送し,測定ができるようになります。

\(Ph = ρg(h + H1) + Pg\)
\(Pl = Pg\)
\(Ph-Pl = ρg(h + H1)\)

\(Ph:差圧伝送器高圧側圧力 [Pa]\)
\(Pl:差圧伝送器低圧側圧力 [Pa]\)
\(g:重力加速度 [m/s2]\)
\(ρ:液の密度 [kg/m3]\)
\(h:任意の液位の高さ [m]\)
\(H1:差圧伝送器の受圧素子中心 [m]\)

差圧式液面計の原理(密閉系の場合 ウェットレグ方式)

密閉系で内圧補正が必要な場合,導圧管の施工をします。しかし,気相部にあるガスが凝縮しやすいと導圧管に凝縮液が貯まるため,誤指示の原因になります。

そのため,予めタンク貯槽内の液や,揮発しにくい液を導圧管に入れて測定する方法をウェットレグ方式といいます。

\(Ph = ρ1g(h + H1) + Pg\)
\(Pl = ρ2gH2 + Pg\)
\(Ph-Pl = ρ1g(h + H1)-ρ2gH2\)

\(Ph:差圧伝送器高圧側圧力 [Pa]\)
\(Pl:差圧伝送器低圧側圧力 [Pa]\)
\(g:重力加速度 [m/s2]\)
\(ρ1:液の密度 [kg/m3]\)
\(ρ2:ウェットレグ液の密度 [kg/m3]\)
\(h:任意の液位の高さ [m]\)
\(H1:差圧伝送器の受圧素子中心 [m]\)
\(H2:ウェットレグの液柱の高さ [m]\)

差圧式液面計の原理(パージ方式)

腐食性の液体・浮遊物を含む液体,地下タンクや既設タンク(タンク横から圧力が取れない場合),狭所,導圧管の取付が困難な場合にパージ式を採用することがあります。

パージ管はタンク貯槽内に撹拌機などがあるとサポート等を取らなければならないため,後付ができない場合があるので注意が必要です。

測定原理は開放系や密閉系と同様の測定原理となります。パージ用ガスをパージ管に流すことで,液の高さ分の圧力が伝送器に伝わることで測定ができます。

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スラリー系や付着性流体の場合,パージ管がつまり測定できなくなる可能性もあるため,仕様流体には注意が必要です。

差圧式液面計の特徴

下に差圧式液面計の特徴をまとめます。

  • 測定原理がシンプルでわかりやすい
  • 導圧管の施工は必要だが,計器自体は安価
  • メンテナンスバルブがあると運転中の交換も容易
  • 測定精度は液面計の中では良い方ではないが気にするほどではない。
  • 異物ゴミに強い(流量を大きくすればフロートとテーパ管との間が広がるため)
  • 密度が変わりやすいプロセスは測定に不向き
  • 密閉系の場合は必ず仕様前に高圧低圧が同圧の状態でゼロ点調整をしなければならない
  • ダイヤフラムシールは水素透過に注意が必要
  • リモートシールタイプの差圧伝送器はキャピラリーチューブの取り扱いに注意が必要
  • リモートシールタイプのキャピラリーチューブは周りに熱源がないことに注意が必要

さいごに

差圧式液面計はとてもシンプルで扱いやすい液面計です。導圧管やパージ管を必要とすると施工費は高くなりがちですが,計器自体は安価なため故障時の取替は容易と思っています。

界面の測定もできますよ。またいつか記事にしたいと思います。

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測定原理が単純明快であるため,安心して使用できる液面計と思います。

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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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