【生産技術/計装】フランジ規格について【フランジ規格】

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「フランジ」とは、円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分をフランジといいます。。一般的に下図のようにボルトで接続します。

目次

フランジとは

フランジとは配管継手の一種です。パイプとパイプの接続や配管に繋がる機器類のノズルとの接続,バルブ・温度計・流量計・液面計などの各種計装計器との接続,或いはパイプの末端の閉止などに使用されます。

フランジはスラリー(粉体)や粘性流体を扱う配管で、配管内部の詰まりなどのために配管を分解・取外してパイプ内部を清掃・メンテナンスする必要がある配管に使用されることが多いのが特徴です。

一般にフランジを用いた配管のフランジ接続はねじ込み接続と比較して、その漏れ・強度・作業性なども良好で信頼性もあり、分解・組立が容易であるなどのメリットがあります。

配管などの接続に用いられるフランジは、以下の図のように円盤、或いは円盤と円筒を組み合わせた形状になっていて、例えばパイプ同士を接続する場合には、

円盤部分同士をボルト・ナットなどで締結することによって、パイプ同士を繋ぎ合わせます。

フランジの区分

  • 呼び圧力
    プロセスの状態や温度,圧力条件により,フランジをグループに分けて規格化しています。これらの規格化をレイティング)と言います。JISでは「呼び圧力」JPIでは「クラス」と呼ばれます。

    JIS :5K,10K,16K,20K,30K,40K,63K kgf/cm2(キロ)基準
    JPI :クラス150,300,400,600,900,1500,2500 lbs(ポンド)基準
    ANSI:class 150,300,400,600,900,1500,2500 lbs(ポンド)基準
  • 材質
    主に材質は以下のものがありますが,あくまで一例です。
    炭素鋼
    低合金鋼
    鋳鉄
    ステンレス

フランジの種類

フランジの種類は以下のものがあります。

引用元

株式会社エムディーメタル フランジ製品カタログ
  • スリップオン溶接式フランジ(板フランジ):SOP
  • スリップオン溶接式フランジ(ハブフランジ):SOH

フランジに管を差し込んで,フランジ背面の管外側と,内径部の内側を2か所スミ肉溶接します。

開先加工の必要がないので簡便に施工可能ですが,溶接強度と信頼性の面で劣るため,高温配管には使用しません。

  • ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ):SW
    フランジに胴付部を設けておいて管を差し込み,フランジ背面の管外側1か所をスミ肉溶接します。

    SOフランジと異なり溶接ビードがフランジシール面を傷つける恐れがなくなりますが,溶接が一か所なので信頼性が低いです。高圧高温配管には使用しません。
  • 突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ):WN
    開先加工を施して管と突合せ溶接します。熱応力や振動に対する強度に優れ、信頼性の高い構造です。

    内面を滑らかに仕上げることができるという利点もあります。高温や高圧の用途に適しています。
  • 遊合形フランジ(ラップジョイント/ルーズフランジ):LJ
    「スタブエンド」と呼ばれるつば付きの配管継手と管を突合せ溶接し,管をフランジ穴に通してスタブエンドのつば部分をフランジに当てます。

    フランジと管の間には拘束がないため,フランジボルト位置を自由に調整することできることが特徴です。

    フランジと管を溶接する必要がないため,グラスライニング,PFAライニングなど溶接性と無関係に異なる材料で製作することができます。
  • ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ):TR
    フランジ内径にテーパめねじ,管にテーパおねじを施工し,ねじ込み接合します。

    現場で溶接ができない場合に使用するフランジです。ただし,シール性の点で信頼性が低く,常温,定圧で危険性のない流体の用途に適用します。
  • 一体フランジ:IT
    鍛造などによってフランジ部と長いハブ(ネック部)が差込みやねじ込みで接合するのではなく,一体に形成されたフランジです。
  • 閉止フランジ(ブラインドフランジ):BL
    さし込み溶接タイプのものと組み合わせ,流体などを閉止するフランジです。流体が流れる穴がないことが特徴です。

フランジフェイス/ガスケット面

ガスケットとは気密性,液密性を保つために使用されるシール材を言います。※フランジとフランジとの間にガスケットを挟み込み,ボルトを締め付けると,ガスケットが圧縮されます。圧縮されたものは元の形に戻ろうとする復元力があるため,この復元力でシール効果を発揮します。

ガスケット一つとってもフランジの面により様々な形があるため,それらについて紹介します。

  • 全面座/フラットフェイス/FF
    全面座はフラットフェイス(FF)とも呼ばれます。ガスケット座面は全面が平面であることが特徴です。記号はFFです。

    全面座は,一般に軟質のガスケットと共に使用され,JISフランジでは呼び圧力が10K以下,JPIフランジではクラス150以下に使用されます。

    特に、機器やバルブなど接続する相手側の相フランジが鋳鉄製の場合は、全面座を使用しなければいけません(ボルト・ナットの締め過ぎに起因する強度上の理由などから)
  • 平面座/レイズドフェイス/RF
    平面座は,レイズドフェイスとも呼ばれます。ボルト穴の内側に平らな座面を設けてあることが特徴です。記号はRFです。

    平面座は,接合面のボルトの穴の内側にほぼ接する円形の平面座を設けたフランジ「大平面座」と,大平面座より小さい平面座を設けたフランジ「小平面座」があります。

    平面座(RF)は、最も広く利用されているフェイス面のフランジです。
  • はめ込み形/メール座,フィメール座/MF(MF-M,MF-F)
    はめ込み形は,メール座とフィメール座とも呼ばれます。一対のフランジを接合面でオス(メール座)・メス(フィメール座)の形なっていることが特徴です。記号は MF(メール座/MF-M,フィメール座/MF-F)です。

    はめ込み形(MF)は,バルブのボンネットフランジやコンプレッサーの接続フランジなどのように,芯出しを正確に行う場所に使用されることが多いです。
  • 溝形/タング座,グルーブ座/TG(TG-T,TG-G)
    溝形は,タング座とグルーブ座とも呼ばれます。一対のフランジの接合面に,一方は溝形の凸部を設け(タング座),もう一方には溝形の溝(グルーブ座)の形になっていることが特徴です。記号は TG(タング座/TG-T,グルーブ座/TG-G)です。

    溝形(TG)は、はめ込み形とは異なり、座面は凹面と凸面からなっているため、ガスケットの当たり面が小さく、面圧を大きく取ることができます。

    そのため、気密性がよく、危険性流体、真空配管用、高圧のアンモニア配管用などに使用されます。
  • リングジョイント座/RJ
    リングジョイント座とは,リングジョイントガスケットが入れられる溝あることが特徴です。記号はRJです。
    リングジョイント(RJ)で使用するガスケットは金属であり,そのシール面は金属の線接触となるので,そのシール性はとても高く,高温高圧に耐えることができます。

    また,他の座面のフランジよりも接続する配管の曲げ方向の外力に対しても強さを発揮し,シール面が露出していないのでシール面の損傷も少ないといった利点もあります

    一方で,メンテナンス時には,フランジの脱着に多少の困難さを伴うといった欠点もあります。リングには,八角形(オクタゴナル)や印形(オーバル)ががあります。

フランジの特徴

フランジの特徴をまとめます。

  • 小さな工具,力で接続ができる。
    ※ねじ込みの場合,配管/パイプが大きいと取付作業において,大きな工具や力が必要
  • 作業空間が狭くて済む
  • 溶接と比較すると脱着が容易
  • 現地での溶接が不要なため,火気を使用しないで取り付けが可能
  • 溶接加工などの破片,汚れが残りにくい(清掃が容易)
  • フランジが出っ張る
  • ガスケットやパッキンが必要
  • 施工工数が嵩み,溶接と比較すると高価
  • 漏れ箇所が増える

フランジの注意点として区分,種類,フランジフェイスによってJISに規定されていない種類があるため,選定時は注意が必要です。

  • JIS 5K,10K,16K SOH スリップオン溶接式フランジ(ハブフランジ)にレイズドフェイス(RF)はない
  • JIS 20K 以上のフランジにフラットフェイス(FF)はない
  • JIS 40K,63Kに板フランジ(SOP),ハブフランジ(SOH)はない。閉止フランジは除く。

フランジの規格

フランジに関わる規格は以下に規定されています。

JIS B2220
鋼製管フランジ

JPI-7S-15
石油工業用フランジ

ANSI/ASME B16.5
Pipe Flanges and Flanged Fittings

※JPIはもともとANSI/ASMEを参考されて作成されています。共通点が多いですが,配管外形寸法の違いから,フランジ内径が異なるものがあるので注意が必要です。

国内で一般に使用されるフランジには,「JIS フランジ」「JPI フランジ」があります。たまに海外輸入品の機器などANSI/ASMEフランジが使用されたりしています。

JIS フランジは「JIS B2220 鋼製管フランジ」「JIS B2239 鋳鉄製管フランジ」に規定されています。

JPI フランジは公益社団法人日本石油学会(JPI)米国機械学会(ASME)のフランジ規格を日本国内で使用できるように作成した JPI 規格で規定されています。

JIS フランジは多くの業界において採用され,JPI フランジは石油精製業界で広く使用されています。海外ではJPIフランジが主流です。

onilog

規格が異なる取り合い/所掌は要注意が必要です。特に海外製の製品を取り扱う際は寸法,ガスケット仕様の確認が必要になります。

フランジの表示

フランジの外周面には仕様や材料,特定の番号等が表示されています。それぞれJISやJPIには規定されている表示があるため,それらを示します。

  • JIS
    呼び圧力
    呼び径(Aは省略)
    材料記号
    10K薄形のフランジはL
    5K,10Kの突合せ溶接式の代替え寸法のものはH
    20K,30Kのスリップオン溶接式はA,B,Cの形別
    溶解もしくは鋳造番号,それらを追跡できる品質管理番号
    製造業者
    商標
    その他必要事項
  • JPI
    クラス
    呼び径
    管の厚さ
    リング番号
    材料
    製造業者の商標
    材料の溶解番号,もしくは製造管理番号
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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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