ブルドン管式圧力計の種類,アクセサリについて

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ブルドン管式圧力計を使用する上で,よく考えなければいけないのが取付方法と種類です。

プロセスは多種多様に及ぶため,何も考えずに取り付けると後々大変なことになります。

種類,組み合わせとして大体以下のものが考えられます。詳しく見ていきましょう。

  • 油封入型圧力計
  • 隔膜式(ダイヤフラム式)圧力計
  • サイフォン管 + 圧力計
  • 放熱管 + 隔膜式(ダイヤフラム式)圧力計
  • ダンプナ + 圧力計
目次

油封入型圧力計

機械的振動に強いため,圧縮機の機器付属の圧力計として納入されることが多いです。

粘性抵抗により機械的振動で発生する指針の動きを緩衝させる効果があります。

軸受,ギアなどの摩耗部の潤滑の役目もあるため,内部機構の耐久性を向上させる効果もあります。

  • 機械的振動のある個所に使用するこが多い
  • 指示部から油が漏れることがある
    ※危険物(第4類のグリセリン)などが入っているので注意が必要です。

隔膜式(ダイヤフラム式)圧力計

隔膜式圧力計はとても使い勝手のよい圧力計と感じています。

接液部の材質のが豊富なため,腐食性,凝固しやすい,スラリー,高粘度流体とたいていの流体の圧力を測定することが可能です。

また,構造上ブルドン管内部にプロセス流体が混入しないため,取り外し時,プロセス流体の洗浄も容易なため,安全に取り換え,整備が可能となります。


引用元

長野計器株式会社 SC_隔膜式圧力計・差圧計・スイッチ カタログ 抜粋
  • ブルドン管内にプロセス液の溜まりを避けたい時
  • 腐食性の強い流体測定に適している
  • 凝固しやすい流体の測定に適している
  • 固形物が混ざった流体の測定に適している
  • 高粘度の流体測定に適している
  • 隔膜(ダイヤフラム)が破孔,損傷すると異物混入(コンタミネーション)となるリスクがある

選定できる材質(接液部)

メーカーにより選定できる材質が若干異なりますが,以下の材質が選定可能です。

・下フランジ
S25C
SUS316
SUS316L
S25C+FEPコーティング
S25C+ライニング(グラス,ネオプレン,ゴム,PTFE)
など

・ダイヤフラム
S25C
SUS316
タンタル
チタン
モネル
ニッケル
ハステロイB,C-276
SUS316+FEPコーティング

封入液の種類

封入液の選定はプロセスの製造条件により選定することが多いです。

隔膜(ダイヤフラム)はとても薄く,破損しやすいものです。破損した場合,封入液がプロセスに混入するため,万が一を想定し,混入した場合でも安全で,品質に影響の少ないものを選定することがあります。

プロセスによっては数ppmのコンタミでも品質に重大な影響を及ぼすプロセスもあります。

選定できる封入液は以下のものがあります。

  • シリコンオイル
    隔膜式の一般的な封入液となります。だいたいこれを選定することが多いと思います。
  • ダイフロイル
  • グリセリン水溶液
    シリコン,禁油などのプロセスに使用されることが多いです。食品添加物に使用されることから食品,飲料などの製造工程で選定することが多いです。
  • プロピレングリコール
  • 純水
    禁水のプロセスでは使用できませんが,溶媒が水のプロセスや化粧品,食品などの製造工程で使用可能です。
    ※もちろん品質部門,製造部門に使用可能なのか確認が必要になりますが。
onilog

管理人はほぼシリコンオイルのみしか使用したことがありません。あまり詳しいことは書けないため,この程度の情報とさせてください。

接続,フランジ,隔膜の種類

  • 1枚フランジ
    1枚のフランジで構成された隔膜式圧力計となります。

引用元

旭計器工業株式会社 隔膜式圧力計
  • 2枚フランジ
    2枚のフランジでダイヤフラムが挟み込まれた圧力計となります。

引用元

旭計器工業株式会社 隔膜式圧力計
  • 溶接タイプ
    ダイヤフラム膜が溶接されたタイプとなります。

引用元

旭計器工業株式会社 隔膜式圧力計
  • ねじ式
    接続がネジのタイプとなります。

引用元

旭計器工業株式会社 隔膜式圧力計

サイフォン管 + 圧力計

温水,蒸気の高温から圧力計を保護するために,この組み合わせで設置します。

引用元

長野計器株式会社 パイプサイホン取扱説明書

引用元

長野計器株式会社 パイプサイホン取扱説明書
  • 温水,蒸気の高温から圧力計を保護する
  • 付箇所と圧力計の間にサイフォン管が入るため,設置個所にスペースが必要
  • 構造上サイフォン内部に液だまりができるため,液だまりが許容できるプロセス液,用役に限定される
    ※温水,蒸気など溜まっても問題ない,安全な流体に使用が限定されがち。

放熱管 + 隔膜式(ダイヤフラム式)圧力計

高温から圧力計を保護するために,この組み合わせで設置します。隔膜式圧力計と組み合わせることが多いです。

  • 高温から圧力計を保護する
  • サイフォン管と違い液だまりができない
  • 取付箇所と圧力計の間に放熱管が入るため,設置個所にスペースが必要

ダンプナ + 圧力計

ダンプナは脈動圧力の作用する箇所に使用する可変タイプの絞り装置です。調整することで圧力振幅が減衰されるため,圧力計の寿命を延ばすことができます。

onilog

材質にもよりますが,圧力計自体高価なものでないため,よほど脈動がひどくない限り取り付けることは少ないかもしれません。

さいごに

圧力計は材質によりますが,それほど高価なものではありません。構造も単純です。

しかし,プロセスの特徴をよく理解し,選定を行わなければ思わぬ事故,トラブルにありがちな計器です。(経験上)

材質,封入液はよく特徴を理解し,また真空系の選定には注意しましょう。(使用可能な温度の制限があるため)

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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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