電気で駆動する電磁弁とは?

計装 ▶︎計装設備制御弁電磁弁

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・電磁弁が分かる

point
・駆動に電流が必要である。停電時は使用できない。
・ポート数の選定に注意が必要

電磁弁は、液体や気体などの流体を制御するための装置であり、多くの産業分野で使用されています。例えば、自動車のエンジンの燃料噴射装置や、空調設備、医療機器、ロボット工場などで使用されています。

目次

電磁弁とは

電磁弁は電磁石に電流を流すことで,鉄片を吸引し,電流を切ると離れる原理を使用し,弁・バルブを開閉する仕組みを持つものです。

電磁弁の構造

電磁弁はコイル,弁体,アーマチュアから構成されます。コイルに電流を流すことで磁力が発生し、アーマチュアが引き寄せられ,アーマチュアの動きによって弁体が開閉し、流体の通過を制御します。

アーマチュアと弁体の接点部分には,樹脂や金属などの耐摩耗性素材が使われており,摩擦による磨耗を防止しています。

また,弁体とアーマチュアの間にはスプリングがあり,アーマチュアが引き寄せられたときに自動的に弁体が閉じるようになっています。

電磁弁は,正確な制御,高速な制御,省エネ,耐久性がありますが,電源が必要であること,騒音が発生する場合があることがメリット・デメリットとして挙げられます。

正確な制御や高速な制御が可能であり,省エネにもなるため,工業分野での利用が一般的です。しかし,電源が必要なため,停電時には使用できず,騒音や熱劣化,機械的故障などのデメリットもあるため,設計段階で注意が必要です。

電磁弁の構造での分類

電磁弁の構造は大きく3つに分類できます。

ポペット形

弁体が弁財に対して直角方向に駆動し,流路を開閉する構造です。駆動力が操作力に比例して大きくなります。

一方で,ストロークが短く構造が単純で,摺動部がないため,寿命が長く,漏れも発生しにくいのが特徴です。

多ポートとなると構造が複雑になります。

スプール形

円筒形の筒の中に串形状の弁体を通したものです。ポペット形に比べ長いストロークが必要ですが,流体圧力を受けません。

多ポートに見られる構造です。

スライド形

平面で溝や穴に流路を設けたプレートを基盤とし,それに弁体がスライドしながら移動することで流路を切り替える構造です。

摺動部があるため,摩耗や漏れが起こりやすく,メンテナンスが必要になります。多ポートに見られる構造です。

電磁弁のポート数での分類

配管の接続数で以下のようにも分類できます。

2方向電磁弁(2ポート電磁弁)

入口と出口を持つ基本的な電磁弁です。

3方向電磁弁(3ポート電磁弁)

供給ポート,シリンダーポート,排気ポートの3つを持つ電磁弁です。

4方向電磁弁(4ポート電磁弁)

供給ポート,シリンダーポート✕2つ,排気ポート✕1つor2つの計4つ,5つを持つ電磁弁です。

onilog

常時閉(ノーマルクローズ,NC,通電開),常時開(ノーマルオープン,NO,通電閉)などどちらが最適化考える必要がありますね。

電磁弁の作動原理での分類

直動式電磁弁

電磁石で便の開閉を行うタイプの電磁弁で,動作がスムーズかつ,高速な制御が可能です。

小型化が容易であり,低コストで製造ができます。

パイロット式電磁弁

パイロット式電磁弁は,弁体の開閉に必要な圧力を生成するために,別の小型弁(パイロット弁)を使用するタイプの電磁弁です。

圧力によって弁体が開閉するため,高精度な制御が可能で,弁体とアーマチュアが分離されているため,大流量の制御にも適しています。ただし,小型化が難しく,製造コストが高くなる傾向があります。

また,差圧が必要となるため,無負荷での作動はできません。

電磁弁の特徴

電磁弁の特徴として以下のものが挙げられます。

  • 高速かつ正確な制御が可能
  • 設置場所に制限がない
  • 長寿命
  • 消費電力が大きい(低消費タイプもある)
  • 電磁干渉に弱い
  • 停電時使用できない
  • 危険物取り扱い場所では防爆構造のものが必要

さいごに

正確な制御や高速な制御が可能であり,省エネにもなるため,工業分野での利用が一般的です。

しかし,電源が必要なため,停電時には使用できず,騒音や熱劣化,機械的故障などのデメリットもあるため,しっかりとメリット・デメリットを理解して,選定が必要となります。

onilog

異常時,フェイル時にどういった状態が安全なのか検討が必要ですね。

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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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