接地について

計装 ▶︎施工 ▶︎接地

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・接地がわかる

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・接地は主に強電用と弱電用に分かれる

目次

接地とは

接地は役割によって強電用と弱電用に分けられます。強電用は感電防止などの保安を目的とした接地で,弱電用は機器の安定的な動作を助けることを主な目的としています。

電気設備の保安を目的とした接地は系統接地と機器接地があります。

系統接地

電路全体を大地と接続するもので,導電した電流を変圧器に還流させるなど,電力系統としての重要な接地

機器接地

電気機器本体,架台,外箱などの個別の機器に施す接地で,大地を経由して変圧器に漏電電流が戻る接地

上記以外にも弱電や計装設備用としてはノイズ防止や信号回路のシステムアースなど回路の安定動作を目的とした接地があります。

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設置工事は電気工事で行われることが多いため,電気工事を実施する前には十分に連携がとれている必要があります。

グラウンドと接地

計装設備における接地は以下のものが主です。機能用設置と言われるものでグラウンドとも呼ばれます。

  • 静電誘導電圧の上昇防止
  • 電磁誘導障害(雑音,ノイズ)の防止
  • 電気回路の帰線としての大地利用
  • 電位の一定化(電子回路のコモン電位の安定化)
  • 通信障害の低減
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グランドとは回路動作の基準となる電位であり,接地は大地に接続することを意味しています。計装設備では区別されています。

信号グラウンド:SG

電子回路内で使用する回路で,動作の基準になる電位のことです。電子回路に流れる電流信号の帰路をシグナルグラウンドと呼び,等電位の導体に接続していることを表します。グラウンドの電位は一様でならないといけないため,グラウンド導線のインピーダンスはゼロであることが理想です。

シグナル接地

シグナルGND接地とも呼ばれます。シグナルグラウンドをさらに回路の基準となる電位を安定させるために保安と異なった目的で大地に接続(アース)します。アナログ回路用をAGND,デジタル回路用をDGNDと表記し,まとめてSGと呼びます。

筐体グラウンド(フレームグランド):FG

筐体の基準電位を確保するためのものです。関係する電気系全体を接地する機能を持っています。金属製の筐体に接続することで各回路の基準電位を作ります。

デジタルグラウンド:DGND

デジタル信号回路における,動作の基準になる電位です。

アナロググラウンド:AGND

アナログ信号回路における,動作の基準になる電位です。

パワーグラウンド:PGND

大きな電流が流れる機器やモーターなどの駆動回路のグラウンドです。電源回路ではYコンデンサを通してフレームグラウンドに接続することが多いです。Yコンデンサとは,ノイズ除去を目的に1次側に設置されるコンデンサのうち,相と大地間に取り付けられるもので,ラインバイパスコンデンサとも呼ばれます。

接地抵抗

接地線は回路の故障時に流れる電流を安全に通じることができるものでなければなりません。

この環境を確保するために各設置工事における抵抗値は以下の表のように定められています。

A種接地工事

10Ω以下

B種接地工事

変圧器の高圧側または特別高圧電路に1線地絡が発生したときに,接地点の電位が150Vを超えない範囲の地絡電流で除した値の接地抵抗値
※接地点の電位が150V1次側が高圧または35kV以下の特別高圧電路であって,150Vを超えたときに1秒を超え2秒以内に自動的に遮断する場合は300V,1秒以内に遮断する場合は600V

C種接地工事

10Ω以下(300Vを超える低圧電路において電路地絡が生じた場合に,地絡遮断機を施設していれば500Ω,遮断機の最大動作時間を0.5秒としたときの接地電圧を50V以下としたときの値)

D種接地工事

100Ω以下(300V以下の低圧機器の電路において,漏電の際感電の可能性を減少させるため。低圧電路に地絡遮断装置を施設していれば,地絡抵抗を500Ωまで)(漏電遮断器で保護されている回路と保護されえていない回路を同一系統としてはならない)

接地線の種類

接地線には事故の度合いによってはとても大きな電流が流れる場合があります。細い電線では焼き切れてしまう恐れがあります。一方で,大電流が流れた瞬間に大地電圧が上昇してしまい感電被害の可能性もあります。

接地線の種類は要領と計算によって求めることで,適切なサイズとする必要があります。

A種接地工事

引張強さ1.04kN以上の金属線または直径2.6mm以上の軟銅線

B種接地工事

引張強さ2.46kN以上の金属線または直径4mm以上の軟銅線

C種接地工事

引張強さ0.39kN以上の金属線または1.6mm以上の軟銅線

D種接地工事

引張強さ0.39kN以上の金属線または1.6mm以上の軟銅線

接地方法

  • 保護接地線の色識別は緑色または緑/黄の組み合わせ色の絶縁電線またはケーブルを使用します。緑色,緑/黄色の組み合わせ色は,その他の目的に使用してはいけません。
  • 接地極は地下75cm以上の深さに埋設する
  • 接地極を鉄柱その他金属対に金瀬Sつしてふ設する場合は,地中でその金属対から1m以上離して埋設すること
  • 接地極は危険物タンクなどから話して埋設する
  • 接地極の埋設箇所には埋設標を設置して表示する
  • 接地極相互間隔は5m以上とするが,できれば10m以上離して埋設する
  • 接地極から地表上2mまでの部分には絶縁電線または通信用ケーブル以外のケーブルを使用する。接地線を鉄柱その他金属体に沿って施設する場合以外は,接地線の地表上60cmを超える部分についてはこの限りではない
  • 接地線の地下75cmから地表上2mでの部分は,電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管,またはこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと
  • 接地線は避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと
  • 他金属との接触による電気腐食の恐れのある場所への埋設は避ける
  • 接地極の埋設で所定の接地抵抗値が得られない場合には,補助電極棒を使用し,電極の周りに低減材を入れる

まとめ

簡単にまとめると以下のようになります。

人の安全確保
電気事故や感電を防ぐために,電気装置や電気回路を地に接続し,電流を地へ逃がします。もしも電気機器や回路に異常な電流が流れた場合,接地によって電気エネルギーは地へ逃れることで,人への危険を軽減することができます。

機器の保護
接地は,雷や静電気の影響を受けた場合に,機器や回路を保護する役割も果たします。電気エネルギーは地へ逃がされることで,機器に与えられるダメージを最小限に抑えることができます。

電気的な信号の安定性
接地は,信号伝送や電気回路の正確な動作にも重要です。適切な接地を行うことで,ノイズや干渉が減少し,信号の品質や回路の安定性が向上します。

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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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