■配管 ▶︎ねじ規格
初めて計装の仕事に携わったときにねじの規格について悩んだことを覚えています。というより,よく意味がわかっていませんでした。
そんなねじの規格についてお話ししたいと思います。
ねじとは
「ねじ」を辞書で調べると以下のうように記載されています。
円筒や円錐の面に沿って螺旋(らせん)状の溝を切ったもの。溝を外面に切ったものを雄ねじ、それにはまり合うように内面に切ったものを雌ねじという。物を締めつけるのに用いる。
Weblio国語辞典
工業や産業だけでなく日常でも見かける「ネジ」ですね!小さいですがとても重要な部品です!
ねじの用語
ねじと一言で言っても大きく分けて2つの部品(構造)で成立しそれらの組み合わせで初めて締め付けることができます。それぞれの部品を以下のように呼びます。
- おねじ(雄ねじ):外にねじが切られている(ボルトなど)
- めねじ(雌ねじ):内にねじが切られている(ナットなど)
なぜ雄雌と呼ぶのでしょうか。知っている方がいらっしゃればこっそり教えて下さい。
ねじの種類
ねじの種類は以下のようなものがあります。
- 管用平行ねじ G
JIS B 0202 (G)
- 管用テーパーねじ R/Rc
JIS B 0203 (R/Rc)
- 鋼製電線管ねじ CTG/CTC
JIS C 8305 付属A
旧:JIS B 0204 厚鋼電線管ねじ(CTG)/薄鋼電線管ねじ(CTC)
- メートルねじ M
JIS B 0205 (M)
- ユニファイねじ UNC/UNF
JIS B 0206 (UNC)
JIS B 0208 (UNF)
- 給水栓取付ねじ ※管用平行ねじ(G)の許容差が違うねじ
JIS B 2061(PJ)
- アメリカ管用テーパーねじ NPT
ANSI/ASME B 1.20.1 (NPT)
ねじの特徴 管用平行ねじ G
円筒形のねじで,ねじの先端から先端までが平行になっています。管,管用部品,流体機器などの接合において機械的結合を目的とした「並行ねじ」で,パッキンなど介すことで使用できます。
記号は「おねじ」「めねじ」共に「G」と表し,旧記号は「PF」です。JISではG1/16~G6までのサイズが規定されています。
※管用「くだよう」と読む
※電線管その他,特定のもののねじには適用されません
おねじには「A」「B」級と等級があり,公差が2倍違います。めねじには等級はありません。
表記方法
おねじA級:G1/2AおねじB級 G1/2B
めねじ:G1/2
左ねじ:G1/2ALH(左ねじはLHを付与する)
旧JISとの違い
F→Gに記号が変更
PF1/8~PF12と規定されている呼び範囲が異なる
PFはおねじ,めねじ共にA,B級の等級がある
ねじの特徴 管用テーパーねじ R/Rc
先端に行くほど細くなる円錐形のねじです。水密性と気密性が高く,ねじ部に耐密性が必要とされる箇所に使用されます。
管,管用部品,流体機器などの接合において,ねじ部の耐密結合を目的とした「テーパーねじ」で,シールテープなどを巻くことにより使用できます。
記号はおねじが「R」,テーパめねじが「Rc」,平行めねじが「Rp1/2」と表し,旧記号は「PT」です。JISではR1/16~R6が規定されています。
※油井管その他,特定の者のねじには適応しない
表記方法
おねじA級:G1/2A
テーパおねじ:R1/2
テーパめねじ:Rc1/2
平行めねじ:Rp1/2
左ねじの場合:R1/2LH(左ねじはLHを付与する)
旧JISとの違い
PT → おねじR,めねじRc
PS → Rpに記号が変更
合否判定の違い
ねじの特徴 鋼製電線管ねじ CTG/CTC
CTG(厚鋼電線管ねじ)
厚鋼電線管でJIS規定するねじを「CTG」と呼びます。JISではCTG16~CTG104まで規定されています。
CTC(薄鋼電線管ねじ)
薄鋼電線管でJIS規定するねじを「CTC」と呼びます。JISではCTC16~CTC104まで規定されています。
※最近JIS規格が改定になって,JIS番号が変わっています。注意ください。
ねじの特徴 メートルねじ M
メートルねじは,国際規格(ISO)で規定された一般的なねじです。規格により,山の角度は60°と規定されています。
メートルねじとはその名の通り,呼び径とピッチの単位をメートル法で表されています。JISではM1~M68のサイズが規定されています。
ピッチ数について
「並目(なみめ)」「細目(さいめ)」とピッチ数が違う規格が制定されています。
並目
また,「並目(なみめ)」「細目(さいめ)」とピッチ数が違う規格が制定されています。
細目
「並目」に比べてピッチが細かく谷が浅い分だけ断面積が大きくなっています。 同じ呼び径のねじを同じ強さで締付けた場合,細目の方が強く締まります。締付け後も並目よりゆるみにくくなります。主に精密さを必要とするところ,微調整が必要な箇所,肉薄で強度が不足するところなどに使用されます。
旧JISとの違い
M3,M4,M5の範囲でピッチが違うそうです。古い規格なのでそんなに気にする必要はないかと思いますが,情報までに。
ねじの特徴 ユニファイねじ UNC/UNF
アメリカ国内を中心に使用されているねじです。他のねじの広がりにより使用範囲が少なくなる傾向だそうです。サイズの基本寸法がインチのため,インチねじとも呼ばれています。
日本では航空機やアメリカ製の自動車などの業界でユニファイねじが使用されています。JIS規格(日本産業規格)でも規定さています。
日本で一般的に使用されているメートルねじとの一番の大きな違いは,メートルねじがその名の通りメートル法のミリ単位で表しますが,ユニファイねじはインチ単位で表されます。
ピッチ数について
「並目(なみめ)」「細目(さいめ)」とピッチ数が違う規格が制定されています。
UNC(ユニファイ並目ねじ)
一般に使われているねじ山です。ちなみにねじ山の角度はメートルねじと同じく60°です。
UNF(ユニファイ細目ねじ)
同じ呼び径のねじを同じ強さで締付けた場合,細目の方が強く締まります。締付け後も並目よりゆるみにくくなります。ねじ山の角度はメートルねじと同じく60°です。
ねじの特徴 給水栓取付ねじ PJ
給水栓取り付けねじは水道に直結する,又は水道に直結する受水槽の下流の配管に接続する単水栓,湯水混合水栓,止水栓,ボールタップ及び洗浄弁・洗浄水栓(それぞれ,電気開閉式のものを含む。)(総称して,以下“給水栓”という。)に使用されています。
Rc/Rp/Gとは許容差が違うため,シールテープなどを使用することで接続が可能となっています。
計装のお仕事ではあまり取り扱うことはないような気がします。私がたまたまやったことがないだけかも。もしかしたらビルなどの施設では使用している???
ねじの特徴 アメリカ管用テーパーねじ NPT
NPTねじとはアメリカ管用の規格・寸法のテーパーねじです。JIS規格ではないことに注意ください。
ねじ山の角度ピッチが違うためJIS規格のねじとの互換性はありません。
海外製の計器を購入した際にNPTねじの接続があり,JISねじ規格のパッキン式ケーブルグランドが接続できないという困りごとがたま~にあります。
必要であれば計器と一緒に納入して貰う必要がありますね。
ねじの不具合・トラブル
- 新旧規格の混同
ねじの規格は様々あることがわかりました。特に混乱を招くのが旧JISが未だに市場で見かけたり,ベテラン技術者が旧JISで読んでいたりするため,混乱することが多いように思えます。
ねじの規格
「ねじの種類」でも記載しましたがそれぞれ以下の規格に制定されています。上部で紹介した以外のものを一部だけ紹介します。
- ねじの用語
JIS B 0101
- ねじの表し方
JIS B 0123
- ミニチュアねじ
JIS B 0201
※本記事では割愛しています。
- メートル台形ねじ
JIS B 0216
※本記事では割愛しています。
ねじのまとめ
◎:シールテープなどで施工
○注1:パッキンなどで施工
○注2:シールテープなどで施工
×注1:原則接合が不可。条件によっては可能。
×注2:接合不可。
さいごに
ねじには様々な規格があるため,混乱を生じることがあります。
まずは基本的なJIS規格を覚え,旧JISがどんな記号なのか知っておくと理解しやすいかと思います。計装の仕事で扱うネジは「G」「R/Rc」「M」がほとんどですので,まずはこれから覚えておきましょう。
ちなみにピッチや谷の角度などは覚える必要はありません。
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