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近接センサー/近接スイッチについて悩まされたことがあったので,近接センサーについて紹介したいと思います。
製造課より「不具合があったからちょっと見てくれ」と休日に呼び出しがあり,そのときに調査した近接センサーついて記事にしたいと思います。
近接センサー/近接スイッチとは
近接センサ/近接スイッチとは,リミットスイッチ(などの接触式検知器(検出方式)の変わり,検出対象に「接触」することなく検出することを目的としているセンサを意味します。
検出対象の位置や状態を電気的信号にします。電気的信号へ変換するための検出部には,
「電磁誘導を用いて対象の金属体に発生する渦電流を検出する方式」
「検出体の接近による静電容量の変化を捉える方式」
「磁石とリードスイッチを利用する方式」
⚠1 : リミットスイッチとは機械的に動いたかどうかを確認するための機器。金属や樹脂のケースにマイクロスイッチを組み込んだものです。
JISでは,「可動部による機械的接触なしに動作する位置検出用スイッチ」と定義されています。
近接センサーの種類
- 誘導形近接センサ
誘導形近接センサは「コイル」「発振回路」「出力回路」で構成されています。磁界を利用した非接触型センサーです。検知したい物体の有無やその距離を検出することが可能です。
コイルから高周波の磁界が発生し,この次回に検出物対象が近づくと,検出対象物に電磁誘導により誘導電流が流れます。
これにより誘導損失が発生することで発振回路が影響を受けるため,その影響を出力信号として出力します。
対象物が磁界に進入した際に発生する電磁誘導により対象物を検出するため,検出対象は「金属」に限定されガラス,木材などの非金属の物は検出することができません。
動作サイクル周波数が高いため,高速で回転する歯車などの検出で使用されることもあります。
しかし対象物の種類(磁性体/非磁性体)や大きさ,センサーの検出面の大きさによって検出距離が異なるため,使用するアプリケーションに合わせて選択する必要があります。
- 静電容量形近接センサ
検出体とセンサの間に生じる静電容量の変化を検出します。静電容量はC=ε0S/dで表されるように検出体の大きさ(S)や距離(d)によって変化します。
静電容量形近接センサの場合,コンデンサのような平行に配置された2枚の平行板の静電容量をイメージすると良いと思います。
検出体とセンサーの2極間に形成される静電容量の変化を検出するものです。
検出可能物体は検出対象の誘電率によって変わりますが,検出対象は「金属」「樹脂」「水」などが検出できます。
一方で応答は誘導型と比較すると遅いことが特徴です。また,誘電率に影響されるため,湿気・水分で誤検出する可能性もあります。 - 磁気式近接センサ
2本の強磁性体のリード線がガラス管に不活性ガスと一緒に封入されいています。リードスイッチにコイルや磁石が近づくと,磁気の吸引力により2つのリード線が接触し,接点として回路が閉じます。
これによりセンサーとして作動します。構造が単純かつ安価である一方で,物理的な接触があるため,接点には寿命があります。検出対象は「磁石」となります。
近接センサー/近接スイッチの特徴
下に近接センサー/近接スイッチの特徴をまとめます。
- 非接触で検知できるため,近接センサー,検知対象物の機械的摩耗や損傷がない
- 無接点出力方式のため寿命が長い
- 油や水,汚れに強く,これらの影響をほとんど受けない(耐薬品性のセンサもある)
- リミットスイッチ(接触式)と比較し,応答が早い
- 使用できる温度範囲が広い
- 接触式と違い,囲の温度の影響や,周囲の物体,センサ同士の影響を受ける
近接センサーの規格(JISやIECなど)
近接センサーに関わる規格は以下に制定されています。
IEC 60947-5-2
非接触式位置検出用スイッチ
JIS C 8201-5-2
低圧開閉装置及び制御装置-第5部 制御回路機器及び開閉素子-第2節 近接スイッチ
参考情報
omron – 近接センサ 概要
omron – 近接センサ 用語解説
omron – 近接センサ 参考資料
さいごに
近接スイッチ/近接センサーと言ってもいくつか種類があるため,その時時に応じたセンサーを選定する必要があります。
センサーの特徴をよく理解して適切なセンサーの選定に心がけましょう。
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