メタルケーブルについて(計装配線)

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・メタルケーブルがわかる

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・電源及び制御配線,信号配線,特殊配線がある

計装配線には用途により電源配線,制御配線,信号配線,特殊配線,光信号配線に分けられます。

光信号配線以外は配線の主要な材質として金属導体を使用したメタルケーブルとなります。

このメタルケーブルについて解説していきます。

目次

メタルケーブル

配線動態には純度の高い電気銅が使用されます。国内ではJIS C3102の基準が適応されますが,海外では仕様書で確認が必要になるため,注意が必要です。

電源及び制御配線

計装設備における電源配線は電気式計器に対する電源供給(DC24VやAC100Vが主)が主体であるため,電流容量も少なく比較的小容量のもので済みます。

制御配線はインターロック回路や,警報回路に使用されますが,電流は小さいことから2mm2程度のケーブルサイズで済むことが多いです。

ケーブルサイズは小さくて済むことが多いですが,電源供給する際は電圧降下など考慮し,ケーブルサイズを決定する必要があります。

信号配線

信号回路は電圧,電流が低いため,0.5~2.0mm2程度の制御ケーブルを使用します。他回路からのノイズによる影響を受ける恐れがある場合は,シールド付きケーブルを使用します。もしくは対よりケーブル(ツイストペア)を使用し,ノイズ対策をします。

信号配線は一般に4~20mADCの統一信号を使用するケースが多いので,外部環境からの電気ノイズによる影響を受けやすいが,電流信号の耐ノイズ性は電圧信号よりも高いです。

特殊配線

熱電対温度計に使用される保障動線が特殊配線の代表的なものになります。

熱起電力の特性に合いうような金属を胴体に用いた導線を補償導線と称し,熱電対と受信計器との間を配線します。

計装用ケーブルの特徴

CVV(制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル)

600V以下の制御用回路に用いる制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブルです。
※試験電圧AC2000Vで検査はしている。

C(Control)V(Vinyl 絶縁材質)V(Vinyl 外皮シース材質)の頭文字でCVVと呼ばれます。JIS規格はJIS C 3401に規定されていますが,仕上がり外径は規定されていないため,各ケーブルメーカーの仕様の確認が必要です。

シールド付きは-Sが付与されCVV-Sと表記されます。しかし,JISには規定されていないため,各ケーブルメーカーの仕様を確認する必要があります。

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シールドケーブルがJIS規格にないと知ったときは衝撃でした

補償導線

補償導線はJIS規格(JIS C1610)で品名の付け方が決められています。

補償導線とは,組み合わせて使用する熱電対とほぼ同一の熱起電力特性を持つ導線のことで,熱電対と受信計器の接続に使用されます。

熱電対の種類に適合した種類および記号,温度による使用区分,構成材料,識別(色分け),熱電対と接続接点温度,補償導線自体の許容誤差がJISで規格化されています。

補償導線と熱電対の組み合わせは下のリンクを参照ください。

株式会社福電
型番の説明 | 補償導線 | 製品情報 | 株式会社福電 福電の型番の説明ページです。補償導線の型番についてご紹介します。

熱電対に関しては下の記事を参照ください。

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CPEV(市内対ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)

CPEVと表示されるケーブルは3種類あり,JCS5224,JCS5402,電力規格D105の規格があり,一般的には市内対ケーブル(JCS5224)が使用されます。

CPEVは通信用ケーブルとして開発されたもので,対撚りの構造です。主に「市内電話回線」「保安通信回線」に使用されます。

JCS5402ではFCPEV(Fはフルカラーの略)が推奨ケーブルとして市販されています。

引用元

電線ストア

JKEV(弱電計装用ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)

JKEVは弱電計装用ケーブルを表しており,3文字目,4文字目でCVVと同様に絶縁材質と外被の材質を表しています。

電源一次側の回路各心線と大地間の耐電圧は300V以下としています。線間耐電圧は製造者やサイズで異なるため,各メーカーの仕様を確認する必要がありますが,だいたいAC350V~1500Vの範囲で製作されます。

MIケーブル(ミネラル・インシュレーテッド・ケーブル)

MIケーブルとは「Mineral Insulated Cable (無機絶縁ケーブル)」のことです。構造は銅を外被として導体間を酸化マグネシウムで絶縁したケーブルです。

外観は裸の銅管のように見え,高い耐火性能と耐熱性能を有しています。

MIケーブルの構造で銅管の代わりにステンレスチューブを使用したものがありますが,こちらは高耐食や高温環境などに対応するためにあります。使用する際には目的を明確にして選定する必要があります。

ケーブルの比較

CVV / CEV / CCV / CEE / CCE

  • 信号用,操作用のケーブルとして,製作されているため使用しやすい
  • 最大使用電圧が600Vで強電用として使用可能
  • 対撚の規格がない

※CEV(ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル),CCV(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)
※CEE(ポリエチレン絶縁ポリエチレンシース),CCE(架橋ポリエチレン絶縁ポリエチレンシース)

CPEV / FCPEV

  • 安価(FCPEVはより経済的なケーブル)
  • 対撚のため,誘導・ノイズに強い
  • 最大使用電圧が60Vと小さい

JKEV / JKEE / JKVV

  • 曲げやすく,作業性がよい
  • 対撚のため,誘導・ノイズに強い

※JKVV(弱電計装用ビニル絶縁ビニルシースケーブル),JKEE(弱電計装用ポリエチレン絶縁ポリエチレンシースケーブル)

MIケーブル(ミネラル・インシュレーテッド・ケーブル)

  • 被覆なしは燃えない
  • シースが金属であるため,機械的保護(電線管など)が必要ない
  • 専用の端末処理材が必要
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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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