質量の基準と単位
質量とは物体が持つ物質の分量です。力が物体を動かすときに,物体の慣性によって生じる抵抗の度合いを表す度合いとして定義されています。
※分量:物の重量・容積・数量・割合などの、多い少ないの程度。量。
※慣性:外力が働かなければ、物体はその運動状態を保つという性質。惰性。
SI単位系ではkgと表され,基本単位の中で唯一接頭辞k(キロ)が付いています。
質量の定義は以下のようにされています。
キログラム (記号はkg)は質量のSI単位であり,プランク定数hを単位Js(kg m2 s−1 に等しい)で表したときに,その数値を6.626 070 15×10−34 と定めることによって定義される。ここで,メートル及び秒は,それぞれc及びΔVcsを用いて定義される。
基本単位において唯一の人工物で定義されていた質量ですが,2019年5月20日にプランク定数で再定義されました。
力(重量)の単位
力(重量)の基本単位は,N(ニュートン)としています。1Nとは「1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさ」として定義されています。
1N = 1kg・m/s2
質量の測定方法
質量の測定方法は大きく2つに分けられます。
零位法:分銅などすでにわかっている量と直接釣り合わせて比較する方法
偏位法:質量とそれに比例する他の物理量に変換して間接的に比較する方法
天秤
天秤は測定物と分銅を釣り合わせて直接的に質量を測定する方法です。はかりの中では最も精度がよいです。
歴史自体は古く,古代文明から利用されておりますが,現代の精密測定においても天秤が使用される場面があります。
誤差を取り除く二重秤量法があります。
ばねばかり
ばねばかりはばねを用いて質量を重力による変位に変換して測定するものです。ばねばかりの目盛りは重力加速度の大きさが場所ごとに異なるため,厳密には質量ではなく重量を示していることになります。
ばねばかりは天秤ほどの精度は出ませんので注意が必要です。
上皿ばねばかりは上皿に加わった果汁でばねに伸びを与え,それを指針の動きに変換したものです。
安価で測定するまでの反応がいいですね。実家でもよく使用していました。
台ばかり
V字形とY字形のてこを組み合わせて測定を行うものです。てこを利用しているため,小さな重りで大きなものが測定できます。
トラックスケールはトラックなどに貨物を載せたまま測定が可能です。
力(重量)の測定方法
ひずみゲージ
ひずみゲージとは導体または半導体に力を加えたときに生じるひずみを電気抵抗に変換して測定するものです。ひずみは長さの変化量のことです。
フックの法則により,歪み料に材料の弾性係数をかけることで,単位面積あたりの力(応力)を求めることができます。
抵抗線は伸びると抵抗が高くなることを利用し,その抵抗値の⊿R(抵抗差)を求めることで,ひずみ量を測定します。
ロードセルの記事にも抵抗線のお話を書いています。こちらを参照ください。
弾性検査器
弾性検査器は,環状の弾性体の変形量をダイヤルゲージで測定して力を求めるものです。
弾性体の変形量とダイヤルゲージの荷重との関係はあらかじめ求めておく必要があります。
大きな荷重の測定には大きな検査器が必要になるため,測定には不向きです。
さいごに
質量と重量は似たようなイメージを持つかもしれませんが,単位が全く異なるため,注意が必要です。
基本的な情報なので混同しないように注意していきましょう。
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