ロードセルは力や荷重の物理量を電気信号に変換するものです。このロードセルについて説明します。
ロードセルは設置することが少なく,メンテナンスもあまり発生しないため,苦手意識がありますね。
ロードセルとは
力を受け,その力に比例して変形する金属弾性体(起歪体:キワイタイ)と,その変形量を電気信号に変換して測定するひずみゲージで構成されています。
ロードセルの作動原理の種類
・ロードセルには作動原理から以下の3種類に分類できます。
- 液圧,空気圧を利用するもの
- 弾性を利用するもの
- 磁歪効果,圧電効果などを利用するもの
ロードセルといえばひずみゲージを指すことが多いですね。
ロードセルの種類
・ロードセルの種類を下にまとめます。
金属抵抗線式(電気抵抗式)
ひずみゲージの一つです。金属が変形することで「抵抗が変化する」特性を利用したロードセルです。
例えば,金属の素線は短いと抵抗値が小さいですが,伸びることで抵抗値が大きくなります。
磁歪式
磁化させた強磁性体に応力をかけると,弾性変形による「磁束密度の変化」を利用したロードセルです。
実際には強磁性体の周りにコイルを巻いてトランス構造とし,その一端に力をかけ,磁束密度の変化で生じた直流バイアスからの出力電圧のずれを検出すれば,かかった力が測定できます。
ヒステリシスを避けるために強磁性体の変形は弾性変形の範囲になければなりません。
この方式のロードセルは,不測の衝撃力に強いという特徴があります。
差動変圧式
機械的な直線運動を変位量として電気信号に変換する方式を利用しています。
静電容量式
「静電容量」は構造体に対向する電極を設けて,歪むことにより電極間の距離が変化することを利用しています。
静電容量は電極の距離によって変化するため,この容量の変化を力や荷重へ変換します。
半導体薄膜式や金属抵抗線式がひずみゲージとして広く普及しているそうです。
以下のような理由でひずみゲージが広く普及しています。
ロードセルの構成(ひずみゲージ)
ロードセルは複数の「ひずみゲージ」と「起歪体」で構成されています。
起歪体が力や荷重などで歪むことでひずみゲージも一緒に歪みます。
ひずみゲージの導体が伸びることで,電気抵抗が変化することを活かして力や荷重を測定しています。
この電気抵抗の変化を電圧として取り出して,測定することができます。
\(R:抵抗 [Ω]\)
\(ρ:抵抗率 [Ω・m]\)
\(L:長さ [m]\)
\(S:断面積 [m2]\)
ロードセルの構成例
ロードセルは一般的にホイートストンブリッジ回路を応用し,ひずみゲージの抵抗値の変化を計測しています。
電気抵抗を正確に測定するためにブリッジ回路を構成し,電気抵抗の変化を電圧として取り出します。
電圧もμVととても小さいため,増幅回路で増幅し,測定できる値に変換しています。
ロードセルの特徴
ロードセル(ひずみゲージ)の特徴をまとめます。
- 精度が高く,温度変化などの影響も小さい。
- 可動部がなく,摩擦もないため長寿命
- 原理が単純で,構成部品も少ない
- 危険物や粉など,直接計測器がプロセスに接触することなく測定が可能
- 衝撃に弱い
- ガタツキがないように設置する必要がある
ロードセルの分類
ロードセルは以下のように分類されます。括弧内のように分類すこともあります。
- 引張型(ビーム型)
- 圧縮型(ダイヤフラム型,コラム型,S字型,ビーム型)
- 交番型
- 曲げ型
ロードセルの規格
ロードセルに関わる規格は以下に規定されています。
JIS B7602
力計の校正方法及び力変換器の性能試験方法
JIS B7612-1
質量計用ロードセル -第1部:アナログロードセル
さいごに
ロードセルとは高精度に測定を可能とする計測機器です。
単純な秤などであれば問題ないと思うのですが,大型の機器などに設置が必要な場合は,保守/メンテナンス性を考慮して設置する必要があります。※精度を求められることが多く,校正の頻度が高いことがある。
設置したはいいものの,校正が困難であればあまり意味がありません。
ロードセルを設置することは良いと思いますが,しっかりと後のことを考えて設置しましょう。
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