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圧力と聞いて何を思い浮かべますか?キッチンでは圧力鍋,天気予報では高気圧,低気圧,水中では水圧と言いますね。
圧力とは
圧力とは押し付ける力のことを意味します。物体の表面あるいは内部の任意の面に向かい垂直に押す力のことを言います。圧力は下記のように表されます。
ちなみに我々の今いる空間は大気というものに押し付けられています。
\(P = \frac{F}{A}\)
\(P = 圧力\)
\(F = 力\)
\(A = 面積\)
パスカルの原理
まずパスカルの原理についてです。パスカルの原理とは
「密閉容器中の流体は,その容器の形に関係なく,ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで,流体の他のすべての部分に伝える。」
という原理です。
もっと簡単に言うと,「静止している流体に加わる圧力はどこでも等しくなる」ということです。
タイヤの空気圧をイメージするとわかりやすいかもしれません。タイヤのどの点も同じ圧力であることはなんとなく理解できるのではないでしょうか。


これが流体の他の全てに余すことなく圧力を伝えているということです。
測定ではこの原理(特性)を活用して,圧力を測定します。
ゲージ圧力と絶対圧力の違い
圧力には2つの基準があり,ゲージ圧力と絶対圧力があります。
ゲージ圧力は大気圧が基準です。今まさにいる空間の圧力がゼロとなります。ゲージ圧力はPa[パスカル]の末尾にGを付与し,PaGと表記します。
絶対圧力は真空を基準とする圧力を意味します。絶対圧力はPa[パスカル]の末尾にabs(A)を付与し,PaabsやPaAと表記します。
ゲージ圧力:大気圧を基準として測定する圧力です。プラスとマイナスがあり,マイナスを真空といいます。
絶対圧力:完全な真空を基準として測定する圧力です。大気圧に影響されない基準となります。
シールドゲージ圧:基準を大気圧(1013hPa)で密封し,これを基準とする圧力です。





単位の末尾には必ずゲージ圧力なのか絶対圧力なのか分かるようにしましょう。
計量法による圧力の単位はN/m2やbar,atm,Torr,mmHgなどがあります。真空はTorrが長年使用されてきましたが,現在はPaに統一されました。
差圧とは
差圧とは圧力の差を意味します。ΔPaと表記します。差圧なので末尾にGやabsは不要です。差圧伝送器や差圧計,調節弁のサイジングや圧損計算などでよく出てきます。
圧力計の分類
圧力計は大きく3つい大別できます。
- 測定しようとする圧力に対応した弾性変位量で測定する方式
ブルドン管式,ベローズ式,ダイヤフラム式,チャンバー式
- 測定しようとする圧力に対応した既知の力と釣り合わせる方式
液柱式,重錘式
- 測定しようとする圧力に対応したその他の物理現象で測定する方式
電気式など



電気式でも更に細かく分類できますが,それは別の機会にお話します。
さいごに
圧力は目に見えにくく,感じにくい物理量ですのでイメージしづらいと思います。しかし,測定にはとても気を使うパラメーターですので,よく理解しておく必要があります。
一歩間違えると大きな事故に直結するため計器の選定は十分に留意する必要がありますね。
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