■計装 ▶︎計装用統一信号
計装機器でいろいろなものが測定できますが,測定した結果を制御装置や指示計に伝えなければ意味がありません。そこで登場するのが「信号の伝送」です。どのような方式があるのか,どのような種類で伝送されているか説明していきます。
目次
伝送器とは
伝送器とは検出部(もしくは操作部) ⇔ 制御部との間で信号を伝送に適した信号に変える変換器(伝送器)のことを意味します。
伝送に適した信号とは
科学技術の進歩とともに伝送方式は変化してきました。しかし,時代とともに変化はしているものの現在でも古い伝送方式のものも今現在でも使用されています。それぞれ一長一短があり,うまく組み合わせることで安定,安全な設備を作り出すことができます。
空気圧信号方式
- 伝送方式:19.6~98.1 kPa or 20~100kPa
- 伝送方向:一方向
- 信号種類:一信号
【メリット】
- 空気を使用しているので防爆(爆発性ガスの取り扱う場所で使用できる)
- 圧縮空気源(計装エア)があれば運転可能
- ノイズ,誘導など電気的な障害を受けない
- 部品の使いまわしが簡単であるため保守が容易
【デメリット】
- 伝送遅れ
- 圧縮空気源がなくなると運転不可
- 圧縮空気源は乾燥した清浄な空気(計装エア)
- 制御端が電算機だと電空変換器が必要
- 空気伝送器自体が高価
- 伝送距離が100m程度
アナログ電気信号方式(アナログ)
- 伝送方式:DC 4~20 mA(電流信号)
- 伝送方向:一方向
- 信号種類:一信号
【メリット】
- 伝送遅れなし
- 伝送距離数km
- 多点記録が可能
- 可動部が少ないため,長期間使用ができる(電子部品の寿命は考慮しなければならない)
【デメリット】
- 停電時は無停電電源装置が必要
- 電磁ノイズを受ける
- 可燃物を取り扱う設備は防爆構造にする必要がある
- 電子部品が故障したら一式交換が必要
アナログ電気信号方式(ハイブリット) HART通信
- 伝送方式:DC 4~20 mA(電流信号) + デジタル信号
- 伝送方向:双方向
- 信号種類:部分多重信号
例)アナログ信号に流量指示を伝送させ,温度や密度をデジタル信号で重畳させる
【メリット】
- アナログ電気信号方式と同一メリット
【デメリット】
- 完全デジタル伝送と比較し,通信速度が遅い
管理人は最もこの方式が好きですね。安定的な電流信号と必要に応じて各種パラメーターを取得すうることができるためですね。
デジタル電気信号方式
- 伝送方式:デジタル信号(双方向)
- 伝送方向:双方向
- 信号種類:多重信号
【メリット】
- 省配線で施工可能
- マルチバリアブル
- 自己診断
- 伝送速度が速く,情報の種類が多い
- 遠隔メンテナンス
- ノイズ誤差がない
- D/A,A/D変換によるノイズがない
【デメリット】
- 対応機種が限られている
- 電磁ノイズに弱い
デジタル無線信号方式 WirelessHART,ISA100 など
- 伝送方式:デジタル無線信号(双方向)
- 伝送方向:双方向
- 信号種類:多重信号
【メリット】
- ケーブル工事が不要
- マルチバリアブル
- 自己診断
- 遠隔メンテナンス
- 有線機器で設置不可能な場所へ設置可能
【デメリット】
- バッテリー管理が必要
- 通信ルート管理が必要
- セキュリティに弱い
- 通信速度が遅く,通信周期も考慮が必要
まとめ
時代の流れに沿って,様々な伝送方式登場し,変化しています。これら伝送方式に関しても計装エンジニアは動向をチェックしていく必要がありますね。
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