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電磁流量計は電磁誘導によって流れの中に誘導起電力を検出し,流量を測定する流量計です。1950年頃に工業用として実用化され,現在では2.5mmの微少流量計から2000mm以上の大流量用まで開発され,広く利用されています。
誘導起電力は流速に比例することを利用しています!
電磁流量計の測定原理
キーエンス株式会社
電磁流量計は 誘導起電力の大きさを示すファラデーの法則を応用した流量計です。またこの起電力はフレミングの右手の法則により液体の運動方向及び磁界の両者に直角な方向に発生します。
電磁流量計の構造
電磁流量計の構造は測定管内面をPFA(テフロン)やセラミック,ゴムなどの絶縁物でライニングされており,起電力を取り出すための電極が2箇所取り付けられています。
測定管の外側には励磁コイルとコアが取り付けられています。
流量目安
危険物流体:1m/s以下 (静電気など帯びる可能性があるため)
その他液体:2m/s以下 (プロセス設計屋と要相談ですね)
流体の腐食性や温度によって測定管内の材質を選定します。
電磁流量計の特徴
下に電磁流量計の特徴をまとめます。
- 出力信号が体積流量に比例
- 流体の温度,圧力,密度,粘度の影響を受けない
- 圧力損失がない
- 一般的に流体の導電率が0.1μS/cm以上が推奨だが,0.01μS/cmから測定できるものがある
- 流量のレンジアビリティが大きくレンジ変更が容易
- 腐食性流体に強い
- 機械的可動部がないため,故障が少ない
- 一般的に流量精度が読み値(指示値)の±0.5%と高精度である
- 静電容量形電磁流量計は非接地電極なのでスラリなどでも測定が可能
- 流体に導電率がないと測定できない
- 流量計前後に直管長が必要
- 気体は測定できない
- 電極に付着物がつくと,誤指示の原因になる
測定流体の条件が揃えば積極的に採用してもいいと思います。
電磁流量計の設置条件
電磁流量計の設置条件と設置方法を以下に示します。
測定管が満液状態であること
※測定管が満液にならない場合があるため,下がり配管には注意すること。異物滞留がないことガス溜まりができないこと相分離していないこと薬注は電磁流量計の二次側で行うこと
必要直管長は以下に示します。(「D」とは電磁流量計の口径を示します。)。直管部は電磁流量計までの電極までとっても問題ありません。直管長はメーカーに寄って異なるため,仕様を確認してください。
配管設計時には取り付け方法の確認をしましょう。
(静電)容量形(式)電磁流量計とは
(静電) 容量形(式)電磁流量計は検出部の電極が測定管の外側にあるため,流体と電極が直接触れないことが大きな特徴です。
導電体と導電体の間には静電容量が発生します。2つの間に流れる物質が変わったり,量が変わったりすると流れる電荷に変化が生じます。容量式流量計は,流量計の流路部に導電性のある素材を用いて,流体が流れる時に発生した電荷を流路の外側に設置された電極で捉えることで流量が測定できます。
通常の電磁流量計と電気的に異なる点は、磁界中に配管内を流れる流体からの電荷を測定しているのではなく,発生した電荷を流量計のセラミックを介して検出するという点です。
- スラリーや付着性のある流体に強い。
- 純粋などの低導電率流体も測定可能(0.01μS/cm以上)。
- セラミックのため,割れるため取り扱いに注意が必要。また,寿命管理が難しい。
- 取付はウェハとなる。
メリットだけでなく,取り扱う上でデメリットもあるので,十分留意が必要ですね。
その他電磁流量計について
- 一体形と分離形
その他の計器にも言えることですが,一体形と分離形があります。一体形とは検出器と指示部変換部が一体となったものです。反対に分離形は検出器と指示部変換部が分離されたものになります。分離型を選定するポイントを示します。これらが該当しなければ一体型を選定しても良いと思います。
- 測定対象が高温の場合,変換部を熱から保護する場合
- ピット内に設置し,変換部が水没する恐れのある場合
- 狭所,高所の設置場所に設置し,現地で指示を確認したい場合
- フランジ接続とウェハ接続
取り付け方法として,フランジ接続とウェハ接続があります。
フランジの場合は,高温高圧/可燃性/毒性など漏れると危険な状態になる流体を測定する場合に使用するなど,漏れにくい接続方法です。
ウェハはフランジと比較し,経済的であることと,配管重量などを軽くしたい場合に使用します。また,先に述べたように容量形電磁流量計もウェハ接続となります。
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