基準とは
なんでもそうなのですが,測定するにはある一定の基準が必要です。
長さにしろ,質量にしろ,時間にしろ全てにおいて基準が定められています。
時間の基準
時間は「秒」「s」で表記されます。
秒 (記号は s) は時間のSI単位であり,セシウム周波数 ΔVcs,即ちセシウム133原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数を単位Hz(s−1 に等しい)で表したときに,その数値を9 192 631 770と定めることによって定義される。
時間の基準の変遷
- 1960年以前:平均太陽日の1/86400を1秒と定義
- 1960年:1900年1月0日12時から1太陽年の1/31556925.9747を1秒と定義
- 1967年:2つの基底状態セシウム133超微細準位間の繊維に対応する放射周期の9192631770倍に等しい時間を1秒と定義
- 1997年:0Kにおける静止したセシウム原子の時計
長さの基準
長さは「メートル」「m」と表記されます。
メートル (記号は m) は長さのSI単位であり,真空中の光の速さ Cを単位 ms−1 で表したときに,その数値を299 792 458と定めることによって定義される。ここで,秒はΔVcsによって定義される。
長さの基準の変遷
- 1795年:北極と赤道の間に挟まれる子午線のこの長さの千万分の1の長さ
- 1885年:国際メートル原器(温度0℃)を1mと定義
- 1960年:クリプトン86原子の発する橙色のスペクトル線が真空中に伝わる波長の1650763.73倍を1mと定義
- 1984年:1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる長さと定義
変遷から見て分かるように地球の大きさから人工物,そして自然物へと変化していることがわかります。
光は不変性,再現性,永久性という観点から採用されています。
質量の基準
質量は「キログラム」「kg」と表記されます。
※基本単位の中で唯一接頭辞「k」が使用されています。
キログラム (記号はkg)は質量のSI単位であり,プランク定数hを単位Js(kg m2 s−1 に等しい)で表したときに,その数値を6.626 070 15×10−34 と定めることによって定義される。ここで,メートル及び秒は,それぞれc及びΔVcsを用いて定義される。
質量の基準の変遷
- 年次不明:水1リットルの質量と定義
- 1795年:大気圧下で氷の溶けつつある温度における水1リットルの質量と定義
※最大密度における蒸留水1立法デシメートルの質量と定義され直した - 1799年:白金製のキログラム原器がさくせされそれをキログラムと定義
- 1889年:国際キログラム原器(プラチナ90%,イリジウム10%からなる合金)をキログラムと定義
1899年か130年間は人工物の原器により,キログラムが定義されていました。
電流の基準
電流は「アンペア」「A」と表記されます。
アンペア (記号はA)は電流のSI単位であり,電気素量eを単位C(Asに等しい)で表したときに,その数値を1.602 176 634×10−19 と定めることによって定義される。ここで,秒はΔVcsによって定義される。
熱力学温度の基準
熱力学温度は「ケルビン」「K」と表記されます。
ケルビン(記号はK)は熱力学温度のSI単位であり,ボルツマン定数kを単位JK−1 (kg m2 s−2 K−1 に等しい)で表したときに,その数値を1.380 649×10−23と定めることによって定義される。ここで,キログラム,メートル,秒はそれぞれh,c,ΔVcsを用いて定義される。
物質量の基準
物質量は「モル」「mol」と表記されます。
モル (記号はmol)は物質量のSI単位であり,1モルには,厳密に6.022 140 76×1023の要素粒子が含まれる。この数は,アボガドロ定数 NAを単位mol−1で表した時の数値であり,アボガドロ数と呼ばれる。
系の物質量(記号はn)は,特定された要素粒子の数の尺度である。要素粒子は,原子,分子,イオン,電子,その他の粒子,あるいは粒子の集合体のいずれかであってもよい。
光度の基準
光度は「カンデラ」「cd」と表記されます。
カンデラ(記号はcd)は所定の方向における光度のSI単位であり,周波数540×1012 Hzの単色放射の視感効果度Kcdを単位lm W−1(cd sr W−1 あるいはcd sr kg−1 m−2 s3 に等しい)で表したときに,その数値を683と定めることによって定義される。ここで,キログラム,メートル,秒はそれぞれ,h,c,ΔνCsによって定義される。
さいごに
これら全ての定義を覚える必要はありません。うんちく程度に覚えておくと面白いと思います。
基準の重要なことは「不変性」「永続性」「再現性」に優れていることです。
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