プラグ弁とは
JIS B 0100 バルブ用語によると以下のように定義されています。
「潤滑構造をもつか又は弁座間の摩擦を機械的に低減させる構造をもつコック」
コックとは
テーパーもしくは平行の弁座を持つ本体に回転できる栓が収まっている流体を遮断するバルブのことの総称です。
↓の図のような形のものをプラグ弁と言います。
プラグ弁の構造
大きく分けると本体と,弁体のプラグ,スリーブで構成されています。構造はとてもシンプルな構造をしています。
ポケット部も殆どないため,重合プロセスや固着流体に適しており,取り外した際も危険物,毒劇物などがポケット部から漏れることがあまりありません。
※まったくないわけではありません。少しは残ります。
流体のシール構造はボール弁と異なり,面でのシール構造となり,シール性はボール弁と比較しても高いものとなっています。一方,スリーブとの摺動面が大きため,開閉に大きな力が必要です。
本体,プラグにPFAなど樹脂系のライニングが可能なため,腐食性の高い流体に強く,高いシール性を持っていること,ポケットレス構造であることからスラリー流体にも強い特徴があります。
ただし,摺動面にスラリー,異物などが嚙みこむと,摺動面を大きく傷つけるデメリットもあります。
プラグ弁の種類
- PFAスリーブプラグ弁
PFAなどの樹脂系のスリーブとプラグが完全に密着し,シート漏れがないバルブです。もっとも基本的なプラグ弁の構造です。
- PFAラインドプラグ弁
本体およびプラグがPFAなどの樹脂系でライニングされた構造となっています。腐食性流体を取り扱うプロセスで使用されることが多いです。
- エクステンドパッキンプラグ弁
外漏れを起こしたくない場合に使用することがあります。グランド部が強固となっていることが特徴です。さらに操作には大きな力が必要になります。
プラグ弁の特徴
プラグ弁の特徴を以下にまとめます。
- 完全閉止
- ポケットレス構造のため,洗浄が容易
- 構造がシンプル
- スラリーに強い
- シール面が大きいため,自動弁の場合は駆動部が大きくなり,手動操作はとても固い
- ボール弁と比較して価格は高め
弁・バルブの規格
JIS規格ではボール弁,プラグ弁ともに面間が一緒のため,ボール弁→プラグ弁,プラグ弁→ボール弁などの変更において,
配管工事が不要です。(メーカーごとに違う可能性があるため,都度確認ください)
JIS B0100
バルブの用語
JIS B2001
バルブの呼び径及び口径
JIS B2002
バルブの面間寸法
JIS B2003
バルブの検査通則
JIS B2004
バルブの表示通則
JIS B 2005-1
工業プロセス用調節弁−第1部:調節弁用語及び一般的必要条件
JIS B 2005-2-1
工業プロセス用調節弁−第2部:流れの容量−第1節:取付け状態における流れのサイジング式
JIS B 2005-2-3
工業プロセス用調節弁−第2部:流れの容量−第3節:試験手順
JIS B 2005-2-4
工業プロセス用調節弁−第2部:流れの容量−第4節:固有流量特性及びレンジアビリティ
JIS B 2005-3-1
工業プロセス用調節弁−第3部:寸法−第1節:フランジ形二方ストレート形グローブ調節弁の面間寸法及びアングル形グローブ調節弁の中心−面間寸法
JIS B 2005-3-2
工業プロセス用調節弁−第3部:寸法−第2節:バタフライ弁を除く回転形調節弁の面間寸法
JIS B 2005-3-3
工業プロセス用調節弁−第3部:寸法−第3節:突合せ溶接形二方ストレート形グローブ調節弁の面間寸法
JIS B 2005-5
工業プロセス用調節弁−第5部:表示
JIS B 2005-6-1
工業プロセス用調節弁−第6部:調節弁へのポジショナの取付けの詳細−第1節:直線運動駆動部へのポジショナの取付け
JIS B 2005-6-2
工業プロセス用調節弁−第6部:調節弁へのポジショナの取付けの詳細−第2節:回転運動駆動部へのポジショナの取付け
JIS B 2005-7
工業プロセス用調節弁−第7部:調節弁データシート
JIS B 2005-8-1
工業プロセス用調節弁−第8部:騒音−第1節:調節弁の空気力学的流動騒音の実験室における測定
JIS B 2007
工業プロセス用調節弁−試験及び検査
さいごに
プラグ弁はとてもメリットの多いバルブとなっています。ただし,そのシール性の高さから駆動部が大きくなり,手動操作では大きな力が必要であることも理解しておく必要があります。
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