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液面を測定するに測定部が接触する測定方法が多い中,超音波式液面計や,マイクロ波(マイクロウェーブ)式液面計は測定物に接触することなく測定が可能です。
マイクロ波式液面計のトラブル不具合に関しては下の記事まとめています。

マイクロ波式液面計の測定原理
超音波式液面計と測定原理は一緒で,
空中に発信したマイクロ波が測定対象面から反射して戻ってくるまでの時間を測定し距離に換算します。

使用される周波数帯域は9~26GHz程度です。最近ですと80GHzのものも発売されています。
マイクロ波とは電波であるため,気相部の影響を受けにくいことが特徴です。
超音波式液面計は照射される波が音波であるため,気相部の影響を受けやすです。
伝搬時間を測定しているため,その時間が気相部の影響で変化してしまうと,正確に液面が測定できません。
近年では気相部の影響を受けにくい『マイクロ波式液面計』が採用されるようになってきています。
マイクロ波式液面計の注意点
- 照射角
マイクロ波液面計はガイド式でなければマイクロ波の照射角が広がっていきます。
測定距離が長くなるほど照射角が広がるため,壁や撹拌機,バッフルなどにマイクロ波があたってしまいノイズになる可能性があります。
取り付ける前に照射角がどの程度広がっていくか確認しておく必要があります。
- 取り付けノズルの長さの制限
取り付けノズルには長さの制限があるので注意が必要です。短い分には問題ありませんが,長いと測定ができない場合があります。

マイクロ波式液面計の特徴
下にマイクロ波式液面計の特徴をまとめます。超音波式とほぼ一緒です。
- 機械的可動部がないため,保守点検が容易
- 非接触であるため,取り外しも容易
- 物質の密度変化に影響されない
- 条件さえ揃えば鏡部も測定できる
- 粉面の測定も可能
- センサ部がセラミックやPTFEなど耐食性に優れている
- 気相部がミスト,蒸気などがあると測定に限界がある
- 検出範囲には近距離側に不感領域帯がある
- センサ部に結露,付着があると測定ができない場合がある
- 設置場所に注意が必要。(撹拌機やバッフル等の影響を受け,誤差となる)
- 直接液面を測定しているため波立ちがあると反射波がうまく検出できない場合がある
- 泡立ちがあると泡を検出することがある
- 比誘電率が低いとマイクロ波が反射されないため,測定できない場合がある
- FRPタンクはマイクロ波がタンク側壁を透過する場合があるため,取付け位置には注意

デメリットが多いように感じますが,非接触で測定できる点は大きなメリットですね。粉面が測定できることも大きなポイントかと思います。
セラミックは寿命の判断が難しいことと,割れるため取り扱いに注意が必要ですよ!
超音波式液面計の測定原理
超音波の伝搬現象を利用し,その伝搬時間の測定や減衰の検出によって検出します。
本記事では反射式について説明します。
反射式は空中に発信した超音波が測定対象面から反射して戻ってくるまでの時間を測定し距離に換算します。
使用される周波数帯域は10~50kHz程度です。


補足
超音波式液面計には透過式というものがありますが,ここでは割愛します。レベルスイッチとして用いられることが多いです。透過式は超音波の発信部と受信部を対向配置し,その間に液体ある場合とない場合の超音波パルスの減衰量の変化を検出します。
超音波式液面計の特徴
下に超音波式液面計の特徴をまとめます。
- 機械的可動部がないため,保守点検が容易
- 非接触であるため,取り外しも容易
- 物質の密度変化に影響されない
- 条件さえ揃えば鏡部も測定できる
- 粉面の測定も可能
- 気相部がミスト,蒸気などがあると測定に限界がある
- 検出範囲には近距離側に不感領域帯がある
- センサ部に結露,付着があると測定ができない場合がある
- 設置場所に注意が必要。(撹拌機やバッフル等の影響を受け,誤差となる)
- 直接液面を測定しているため波立ちがあると反射波がうまく検出できない場合がある
- 泡立ちがあると泡を検出することがある
- 真空条件下では測定できない。(超音波を伝搬させる気体がないため)



デメリットが多いように感じますが,非接触で測定できる点は大きなメリットと思えます。
さいごに
非接触液面計の大きなポイントは接液しないことにあります。毒劇物の測定に好まれて設置することが多い印象です。(取り外しが容易なため)
また設置条件が合えば,鏡部の液面も測定できるため,監視制御したい範囲を広げることもできるため,既設機器への設置もよく検討しています。
ただ伝送器と比較すると高価であること,液面のマスキング(調整)は練習や講習を受けないと難しいですね。
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