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超音波流量計は配管内の流体に対して送信器は斜めに超音波を照射し,また送信器と反対に受信器があり照射された超音波を受信します。
この超音波の到達時間を測定することで配管内の流れる流体の流速を測定することができます。
超音波流量計は体積流量を測定します。現行,製品化されているメインの測定方法『伝播時間差式』について説明します。
超音波流量計の構造
伝搬時間差方式ではセンサはそれぞれ送信器と受信器の機能を交互に超音波を送受信を行います。

超音波流量計の原理
伝搬時間差方式の超音波流量計は,送信器から超音波が送信され,配管を横断して受信器までの時間の差を測定します。
上流方向への超音波の伝搬時間と下流方向への超音波の伝搬時間を比較します。流れがない場合,移動時間は両方向で同じになります。
流れがある場合は音の移動は同じ方向に移動している場合(流れに対して順方向)は速くなり,反対方向に移動している場合(流れに対して逆方向)は遅くなります。
これらを式に表すと下式のように表される。f1は上流から下流への周波数(周波数の逆数は時間。ここで言う時間は伝搬時間を意味します。),f2は下流から上流への周波数の差を求めることで,流速が測定できます。
\(v=\frac{D}{sin2θ}(f1-f2)\)
\(θ:超音波入射角\)
\(D:測定管径\)
\(v:流速\)
超音波流量計の特徴
下に超音波式流量計の特徴をまとめます。
- 渦流量計と比較しても大口径が容易に製作できる
- ※渦は他の流量計と比較しても大口径が安価で製作できる。超音波は更に大口径が得意。
- 構造が簡単で機械的可動部がない
- レンジアビリティが大きい
- 圧力損失なし
- 正逆計測が出来る
- クランプオン方式がある(配管工事なしに,配管の上から測定ができる)
- 直管部が必要
- 液中の固形分が多いと誤差の原因になる
- 液中の気泡が多い(2%程度以上)と測定不可能になる
- ※超音波を拡散されてしまうと測定できない
- 流速分布の影響を受けるため,整流器や直管長が必要
- 脈動があるとハンチングの原因になる
- 減圧弁,絞りがあると超音波ノイズが発生し,測定に影響を与える

他の流量計にはない特徴としてクランプオン方式のものがあることですね!配管工事ができない,試験的に流量を測定したいなど需要はそれなりにある印象です。この場合も直管長は必要です!
さいご
超音波流量計は超音波で測定する流量計です。大口径でも安価に販売されておりますし,また配管工事不要なクランプオン方式の型式があります。
ただし,流体に超音波を阻害する異物,スラリーがあると計測誤差につながるため,注意が必要です。
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