マイクロ波式液面計のトラブル,不具合

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マイクロ波式レベル計の測定原理については以下の記事で紹介しています。

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おさらい

大きな特徴として2つあります。一つは「非接触」で測定ができること。もう一つは測定物の「比誘電率」に依存することです。

比誘電率が高いと測定距離が長くなり,比誘電率が低いと短くなります。

設置しても「うまく測定できないなぁ」というときは測定対象の比誘電率がどの程度なのか確認する必要があります。

onilog

設置前に比誘電率を確認しておくことをお勧めします。

マイクロウェーブ式液面計の測定波形について

これ以降のトラブルは下の波形の読み方を理解する必要があります。

メーカーによって違うかもしれませんが,E社様の波形はざっくり下のようなものになります。
※実際にはもっといろんなところに反射波形があります。図のようにこんなにきれいなものではありません。

例えば,貯槽に50%液が入っていたら,波形は下の図のような感じになります。

ある閾値(グレー)があり,その時の反射波形(ブルー)となっています。

液面がなければ反射波形がなく,反射波形が閾値を超えたところが液面となります。

この波形を用いて不具合/トラブルを説明します。

バッフル板(邪魔板)や撹拌翼による液面の誤検出

マイクロ波は金属を透過することができず反射してしまいます。

そのため,マイクロ波の照射範囲にバッフル板や撹拌翼があると,ノイズとなるため,液面を誤検出してしまいます。下図。

閾値をわざと上げて,検出しないように調整(マスキング)が必要です。

また撹拌翼などが槽内にある場合,液がないにもかかわらずあたかも液があるように誤検出される場合があります。

その場合は,わざと撹拌翼を照射角に入れ,攪拌翼をマスキングすることで誤検出しないように調整する方法もあります。

液/粉の装入中に液面を誤検出する場合

マイクロ波式液面計の付近に液を装入するためのノズルや,粉を入れるためのシュートがあると,装入中の液/粉にマイクロ波が反射し液面を誤検出する場合があります。

そのため,マイクロ波式液面計付近に液/粉の装入するためのノズル,シュートがないことを確認して設置する必要があります。

昔,照射角の直下に内容物を不活性ガスでバブリングするノズルを設置してしまい,バブリング中に誤検出し,何を測定しているか

分からなくなってしまった失敗事例がありました。照射角内に何があるか,何もないところに設置することが重要ですね。

何も空間内にないはずなのに液面を誤検出する場合

何もないことはないのですが,濃いミスト,粉塵があると誤検出する場合があります。下図。

その場合も,閾値を調整(マスキング)することで誤検出を防ぐことができますが,閾値の調整は慎重に行う必要があるので注意が必要です。下図。

ミストや粉塵は定量的な動きをしないため,この波形は「ミストのせいだ」と決めつけて調整(マスキング)をしてしまうと,本来の液面も検出しなくなる可能性があるため,検討が必要です。

反射波が乱反射し,マイクロ波の伝搬時間が長くなる場合

反射波が乱反射するとマイクロ波が照射されて,検出するまでの時間が長くなります。

マイクロ波式液面計はマイクロ波の伝搬時間を測定しているため,液面が低く測定してしまう場合があります。

その場合は,最初の波形を液面とする調整方法もあることを覚えておくとよいでしょう。

樹脂製の貯槽などに設置する場合の注意点

樹脂製(FRPなど)の貯槽にもマイクロウェーブ式液面計を設置することができます。しかし,樹脂はマイクロ波を透過してしまうため,樹脂製の貯槽の外までマイクロ波が照射されてしまいます。

貯槽の外に何もなければよいのですが,金属の工作物(配管や階段など)があったり,また人などが立つと液面を誤検出する場合があります。

樹脂製の貯槽に設置するときは周りに何もないことや,人が立ち入りにくいところなのか検討が必要です。

工作物などが動かなえればバッフル板や攪拌翼などと一緒で調整してしまえば問題ありません。

さいごに

マイクロウェーブ式液面計は高性能で精度も高く,またプロセスに直接接液しないため,とても重宝する計器です。

しかし,今回紹介したようなトラブル/不具合も起こす可能性があるため,どのようなトラブル/不具合があるかは知っておく必要があります。

設置環境も大切になるため,これらのことは覚えておくとよいでしょう。

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この記事を書いた人

生産技術系のエンジニアです。日々,計装関係の仕事に従事しています。 生産技術系ブログ【計装便覧.com】を運営中。主に計装設計についてまとめています。また仕事の時短ワザなども紹介しています。計装技術については初心者でもわかりやすくをモットーに執筆中!

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