弁,バルブには流量を調整する働きや流れを止める働きがあります。
特に調整するという働きにはバルブの特性をよく理解していなければなりません。
流量特性と固有流量特性とは
流量特性,固有流量特性は以下のように説明されます。
- 流量特性
バルブの開度と弁の容量係数の関係を流量特性
- 固有流量特性
バルブの開度と弁の容量係数を100%とした場合の相対的な流量特性
弁の容量係数とは
Cv値,Kv値,Av値と言われる容量係数があります。これらは弁・バルブの容量係数を表しており,その値が大きいほど圧力損失が小さく,流れやすいことを意味します。
ちなみにCv値はJIS B 0100 バルブ用語によると以下のように定義されています。
バルブ容量係数の一つで,特定のトラベルにおいて圧力差が1lbf/in2(PSi)のとき,バルブを流れる60°Fの温度の流量を US gal/min で表す数値。
Cv値は以下のように計算されます。
\(Cv = Q×\sqrt{\displaystyle\frac{G}{ΔP}}\)
\(Cv:Cv値\)
\(Q:流量(gal/min)\)
\(G:比重\)
\(ΔP:差圧(lbf/in2)\)
Cv値が大きいと弁も大きくなりますね。
固有流量特性の種類
バルブの弁開度と流量の関係を流量特性と言います。
弁・バルブ前後の差圧を一定として流体を流したときの流量特性を固有流量特性と言います。
固有流量特性の種類とは大きく分けて3種類あります。
イコールパーセント(EQ%)特性
小弁開度の時はCv値変化も小さく,大弁開度になるにつれてCv値変化も大きくなる特性をイコールパーセント特性と言います。
弁開度の増分と容量係数の増加比率が等しい特性で一般的な場合の流量調整に最も適します
弁開度変化に対し,流量変化が等比率(対数)となる特性があります。
リニア特性
弁開度とCv値が比例している特性をリニア特性といいます。配管抵抗が小さい場合の流量調整に適します
弁の開度と流量が正比例する特性を持っています。
クイックオープン特性
弁が開くとすぐに最大流量に達する特性的です。
小弁開度の時はCv値変化が大きく,大弁開度になるにつれてCv値変化が小さくなる特性をクイックオープン特性と言います。
弁の開き始めで容量係数が急激に変化する特性で、遮断弁や一斉開放弁などオン・オフ制御の目的に適します。
有効流量特性
実際に弁,バルブに流体を流した場合,弁の開度変化に応じてバルブ前後の差圧は変化します。
弁開度と流量の関係は固有流量特性からずれます。
これを有効流量特性と言い,配管圧損やポンプの特性との相関関係にあります。
\(Pr = \displaystyle\frac{P1-P2}{Ps-P2}\)
\(Pr:圧損比\)
\(P1:調節弁1次圧\)
\(P2:調節弁2次圧\)
\(Ps:ポンプ出口圧力\)
流量特性の選定
イコールパーセント特性を選定するときの考え方
- 配管系の圧力損失が大きいとき
- 弁開度の変化に応じて弁・バルブ前後の差圧変動が大きいとき
- 常用流量と比較して小さい流量での制御が予測されるとき
低流量時は系全体の圧損が小さくなるため,弁・バルブでの圧損(差圧)を与える必要があり,大流量時は系全体の圧損が大きくなるため,弁・バルブでの圧損(差圧)を小さくする必要があります。
低流量時:高差圧で動作する(圧損,差圧を与えられる)
大流量時:低差圧で動作する(圧損,差圧は与えられない)
弁・バルブの開度が⼤きくなるほど前後差圧が⼩さくなるため,イコールパーセント特性のバルブを使⽤する⽅が実際の流量とバルブの開度が⽐例に近くなり制御性がよくなります。(有効流量特性の図を参照)
リニア特性を選定するときの考え方
- 弁・バルブの差圧変動が少なく,ほぼ一定のとき
- 系全体の圧力損失のうち,弁・バルブに与える圧力損失(差圧)が大きいとき
- 必要とするレンジアビリティが小さいとき
- プロセスの主変化がリニアのとき
- 流体による閉塞,摩耗が考えられるとき
クイックオープン特性を選定するときの考え方
- 遮断弁,オンオフ弁として使用する
コメント