バタフライ弁とはレバーを回して弁棒を回転させ,弁棒と結合した弁体が回転する事で流体を制御します。
ON-OFFにも流体調整にも使用できる,汎用性の高いバルブです。
バタフライ弁とは
バタフライ弁はコンパクトでシンプルな構造です。そのため比較的軽量で,狭いスペースでも使用できるメリットがあります。
構造上取り付け方向が決まっていることや,弁体が円盤状であることからウォーターハンマーが発生しやすいというデメリットもあり,注意が必要です。
弁体を90度回転して開閉ができます。ボール弁と異なり,バタフライ弁は中間開度での流量調整機能にも優れており,幅をとらず,省スペースで設置できるのが利点の一つです
バタフライ弁は蝶形弁とも呼ばれます。
バタフライ弁の構造
短円筒状の本体の中に,円板状の弁体が弁棒を軸に回転して流路を開閉するバルブを「バタフライ弁」と言います。
株式会社キッツ バルブの種類と構造
バタフライ弁の種類
バタフライ弁にはいくつかの種類があり,主に以下のようなものがラインアップとしてあります。
センターディスク
基本的な構造です。ステムの中心線とディスクの外周にあるシール面が同一面上にあります。
一般には本体の内側にゴム又は樹脂などの弾性体のライナーを入れステムとディスクで強制的にシールをします。
偏心弁
偏心弁は,回転軸となる弁棒の中心(a)と弁体の中心(b)が離れた「一次偏心部」を持つ構造となっています。
本体側と弁体側のシールは円錐形状で,その円錐の中心線(c)上に弁棒の中心(a)があります。この円錐の中心線はバルブ本体の中心線と合致しています。
この設計では,弁の開閉時に弁体が常時シール面を擦り押しつぶして(摺動)います。そのため,この偏心弁構造はゴムシートのようなソフトシールが採用されます。
もちろん摺動するため,シート面の摩耗が発生します。
巴バルブ株式会社
二重偏心弁
二重偏心弁は、偏心弁と同じく回転軸となる弁棒の中心(a)が弁体の中心(b)から離れ,さらにバルブ本体の中心線(c)からも離れて位置する「二次偏心部」を持つ構造です。
バルブの開閉時,偏心によるカム作用によりディスクが僅かな回転角度でシートリングから離脱する為,シール面の摩耗を防ぐことができます。また流体圧力による大きな影響を受けません。
二重偏心形はセンターディスク形より弁座シール性に優れており,ゴム及び樹脂シートの他にメタルシートの選択も可能です。
巴バルブ株式会社
三重偏心弁
三重偏心弁は,二重偏心に加え,さらに円錐の中心線(d)がバルブ本体の中心線(c)から傾いて位置する「三次偏心部」を持つ構造です。これによって,本体側と弁体側のシール面は楕円断面になります。
この三重偏心構造では,弁の開閉時にそのシール面同士が摺動しないのでシール性能が維持でき,長寿命化がはかれる上,弁を開ける時に発生するジャンピング現象が極限まで抑えられます。
また,シートリングが自動調芯機能を持ち,全閉位置のセット(固定)はアクチュエータ側の調整ではなく,シートリング自身が行います。これが「トルク・シール」です。
巴バルブ株式会社
非摺動式バタフライバルブ
少し特殊なバタフライバルブです。
閉時には弁体が閉位置に来た後にシートが膨張し確実にシールし開時にはシートが収縮した後に弁体が開く構造となっているため,シートとの摺動が極端に低い構造となっています。
株式会社マツボー
バタフライ弁の特徴
下にバタフライ弁の特徴をまとめます。
固有流量特性は80%付近まではイコールパーセント特性に近い特性を持っています。
- 全開時の圧力損失が比較的低い
- 開閉トルクが小さい
- 弁棒の90°回転で全開-全閉操作ができるので操作性が良い
- 面間寸法が短い
- メンテナンスが容易である
- 気密性が良い
- 流量調整に適している
- 小口径から大口径まで広いサイズに適応する
- シート部の材質により、使用温度と流体が制限される
- ウォーターハンマー,キャビテーションが発生しやすい
- 取り外す際はバルブが閉じていないと取り外しができない
弁・バルブの規格
バタフライ弁に関わる規格は以下に規定されています。
JIS B2032
ウェハー形ゴムシートバタフライ弁
弁・バルブに関わる規格は以下に規定されています。
JIS B0100
バルブの用語
JIS B2001
バルブの呼び径及び口径
JIS B2002
バルブの面間寸法
JIS B2003
バルブの検査通則
JIS B2004
バルブの表示通則
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工業プロセス用調節弁−第1部:調節弁用語及び一般的必要条件
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工業プロセス用調節弁−第6部:調節弁へのポジショナの取付けの詳細−第2節:回転運動駆動部へのポジショナの取付け
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工業プロセス用調節弁−試験及び検査
さいごに
バタフライ弁は省スペース化でき,ON-OFF弁としても利用できます。大口径なものもあります。
流量調整は少し得意くらいにイメージしていただいたほうが良いかもしれません。低開度ではキャビテーションを起こしやすいため,破損の原因になります。
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